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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■時事ネタまでは手が回りません/映画『レイクサイドマーダーケース』ほか
もちろん上質のミステリの条件とは、たとえ犯人が分かっていても二度、三度と見返すことができなければならないことで、なぜコイツがこのときこういう態度を取ったのか、なるほどこういうことだったのかと頷きながら見ることができなければならないのである。その点でも、本作は役者陣の演技力が実に発揮されていて見応えのある出来映えである。役所広司、薬師丸ひろ子、柄本明、黒田福美、真野裕子、鶴見慎吾、杉田かおる、豊川悦司、みなさん実にスキがない。失礼ながらこの中には役者としてどうかなあと思ってた方もいらっしゃるのだが、なんとまあこんなに上手い役者さんだったとは! と今回は目からウロコである。えーっと、これもトリックに関わることなので誰がどうだとは言いませんが、ぜひその方の細かい表情まで堪能していただきたいのである。
そういったディテールに凝っている映画の場合は、一回見ただけでは、あの映像この映像、役者の演技にどういう意味があったのか、などということがすぐには分からないので、特にトリックにみごとに騙されて真犯人が見抜けなかった観客の方は二度見ることをオススメしたい。これくらいはヒントとして言っとくけど、さっきも書いた通り、“事件が起きる前に”既にヒントとなる映像は「仕掛けられている」のである。
……二度見てもよく分からなかった方は、そうですねえ、多分あまりミステリ慣れしていらっしゃらないんでしょうから、“かなりミステリ好きな方”と一緒に見に行って、説明してもらって下さい。
例えば、今日劇場でも、見終わったあと「証拠になる吸殻を片付けたのは誰だったんだ?」とか首を捻ってた人がいたけれど、そんなの「真犯人」に決まってるんで(^_^;)。ちゃんとヒントになるセリフがある人物から語られているのに、そのことに気づいてないのだが、ミステリファンでない人というのはこの程度なんだろうなと思う(何度も言ってるが、これは「慣れ」の問題なので、犯人に気付かなかった人をバカにしているわけではない)。結末も映画は“暗示”で終わっているけれど、当然、このあとの展開はこうしてこうなって、というのは全て読めるのである。
全体としては実によくできていて、100点満点中、70点くらいは差し上げたい。もっとも、いささか饒舌な部分もあってそこがやや気に入らないのだが、具体的にどこがどう悪いのか、それを語るには真犯人が誰だかバラサなきゃいけないので、これも残念ながら具体的には書けないのである。ミステリは作る方も大変だろうが、感想を書くのも難しい。映画を見た人、こっそりメールで感想言いあいましょうよ(^_^;)。
01月23日(日)
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