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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■小田部通麿氏ご逝去/あさりよしとお『まんがサイエンス\』
 魔人の中に二十面相が入ってるにしろ(ネタバレだけどこのトリックがわからんやつなんてまずいないから書いたって構うまい)、その能力は殆どロボットだからこれはもうSFっていうしかないんじゃないかね。もちろんこの場合、誉め言葉としては使ってない。何がイヤって、明智小五郎がなにやら分けの分からん液体の瓶を取り出して、魔人に向かって「これをかけると機械の継ぎ目から入ってお前のからだを溶かしてしまうぞ!」とすごむところ。で、実際にかけてるし。明智がそんな芸のない脅しをするかい。……いやまあ、低予算の添えもの映画に文句つけたってしょうがないんだけどね。

 マンガ、あさりよしとお『まんがサイエンス\』。
 もう9巻。連載は10年越えてると思うんだけれど、これだけ続いてネタギレしないというのもまさに世に科学のタネは尽きまじ。と言いながら巻末付録の専門家一覧見ると、ドクター脳とかミスター脳とか似たようなキャラがしょっちゅう出てきてるけど。学年誌連載だからこの程度のダブリは仕方ないか。ウンコの話なんかは「学校でウンコをしよう」運動があってたころの話なのかな? 胃弱になっちゃった身としては実にタメになります。


 俳優の小田部通麿氏が、8月29日、再生不良性貧血のために死去していたことが判明。享年77。
 「おたべ・みちまろ」と聞いて、はて、どんな俳優さんだったかとパッと思い出せない方もおられるだろうが、特撮オタクにとっては、いや、悪役俳優ファンにとっては忘れようったって忘れられない方である。たとえ名前は知らなくても、そのいかにも悪役然とした目つきに獅子鼻の異相、あれは一度見たら決して忘れられるものではない。出演したドラマは思い出せなくても、あの時代劇この時代劇と、脇役で散々ヤクザとかをされていたから、40代以上の人間なら、小田部さんを見たことがない人はまずいないだろう。写真を見れば、「ああ、この人!」と言ってきっとポンと手を叩くに違いないくらい印象深い方なのである。あのご面相で本職はお寺のご住職だったのだから、まさに鬼神も三舎を避けるといった雰囲気だったのではなかろうか。
 私にとって小田部さんと言えば、何と言っても往年の特撮時代劇ドラマ『仮面の忍者赤影』第2部「卍党編」で演じた不知火天馬役が極め付けである。
 いきなり「ファイヤー!」と叫んで火炎攻撃、火柱と爆発で赤影を散々苦しめたあのド迫力! 時代劇なのに英語? という文句は『赤影』に関しては付けてはいけないのである。
 東映時代劇の役者さんにはこういう豪快な悪役さんが多かったが、小田部さんはその中でも特に郡を抜いた迫力であった(『赤影』には第3部「根来編」にも魔風刑部役で続けて登場)。
 『燃えよ剣』では珍しく善人役で最後まで土方歳三に付いていく壬生の伝蔵役を演じておられたが、やはりその本領は悪役にあったと思う。『赤影』の悪役さんはもうかなりの方が物故されてしまっているが、もともと甲賀幻妖斎の天津敏さんを初め、阿波地大輔、汐路章、二見忠男といった諸氏も小田部さんも、みな大部屋出身で脇役専門、日の当たる主役を演じる機会はないに等しかった。それでいて自らの立場を卑下することもなく、かえってその強烈な個性を持って役を全うし、時には主役をも食うほどの存在感を見せておられたのだ。今、若手でそんな役者がどれだけいるというのだろう。寂しい。

09月16日(木)
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