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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■夢語りは現実語り
読んだマンガの感想、コンテンツになかなか挙げられないでいるが、これだけは簡単にでもこの日記に書いておきたい。薄給・重労働は常識、周囲のアニメに対する偏見は強く、夢破れて転職していく若手が後を断たないアニメーターの世界で、なおかつ「仕事を続けて来た」石田さんの、これは紛れもない「戦いの記録」である。フィクションという形は借りていても、そこに描かれていたような「いやがらせ」はきっとあったのだ。それでも石田さんは「アニメーターをやめなかった」のだ。
この「現実」は何よりも強い。賢しらだった皮肉屋は「夢だけじゃ食っていけねえんだよ」と言うが、威張ってそんな口を利くヤツは、たいてい、夢を実現させる能力もない自分を現実主義者に見せかけて韜晦しているだけの愚かで卑屈な猿である。こういう言い方をすると、すぐ勘違いする馬鹿が出てくるのだが、私は「現実を見るな」と言いたいわけではなくて、「現実主義を逃げ口上にするな」と言いたいのである。陳腐な言い方だが、挫折する前に何かそれなりの「努力」はしたのかそいつは。何度も挫折を味わい、挫けそうになりながらも歯を食いしばって、自分の「夢」を実現したヤツだって、世の中にはいくらでもいるのだ。そういう人間に対して、口を開けば「もう少し現実を見ろよ」としか言えないヤツは、それこそ自分の狭い世界の中の現実しか見ていない、愚か者である。さらに広い世界から見れば、彼らの語る「現実」とやらのほうが、儚い「幻」でしかない場合も多い。全く、夢を見てるのはどっちの方なんだか。
もちろん、努力もしねえで「夢」だけ語ってる馬鹿だってたくさんいるけれど、少なくとも人に知られずとも日々研鑚を怠らないアニメーターの卵諸君にとって、いや、ささやかでも自分の夢を決して忘れないでいる若い人たちにとって、このマンガはきっと勇気と力を与えてくれると思うのである。
……だから部数もっと出そうよ、少年画報社さんよ。
08月31日(火)
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