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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■『華氏911』余燼
昨日に引き続き、今日はいきなり500人近くのお客さんが来られました。いやもう、カウンターが回る回る。九万ヒットが間近だけれど、この分だと、またキリ番ゲットは通りすがりさんだろうなあ。毎回粗品を用意して、そのたびにムダになってるのがちょっと寂しいのである。
話題が『華氏911』に関することだから、気がついたら名塚さんとこ以外にもいくつかのBBSとかにリンクが貼られているのだけれど、自分の文章が賛否両論の俎上に乗せられるというのもフシギな気分である。それだけ『華氏』が喚起した問題が多数の人々の琴線に触れたのだろうけれども、いくつか私の文章に疑義を呈している人の文章を読んで首を捻りたくなるのは、ブッシュが大統領を辞めれば歴史が変わるかもしれないとユメを見ている人が意外に多いということだ。……変わるかよ、アメリカが(~_~;)。それはマイケル・ムーアだって、映画の中で「ゴアだったらイラク戦争は回避できたのか?」と疑問符付きでしか言えなかったことなんだけどねえ。あの国が「定期的に戦争を起こさなければやっていけない国」だということは、別に私が言わんでも、いろんな人がこの「五十年以上に渡って」言い続けていることである。いちいち日記にそのあたりの話を全部書いてる余裕はないので、例えば参考までにC・ダグラス・ラミスの『なぜアメリカはこんなに戦争をするのか』あたりでも読んでみてちょ。
これはまあ言っちゃなんだが、映画評論家の町山智浩さんが6月25日の日記で、マイケル・ムーア礼賛しちゃった影響が大きいのだと思う。
「そもそも映画としての評価など関係あるかね?」と言って『華氏』が政治的プロパガンダ映画であることを全肯定し、「ムーアの目的はいい映画を作ることでも、公平なジャーナリズムでもない。ブッシュを一刻も早く止めさせること、少しでも無駄な犠牲を減らすことなのだ」と持ち上げる。更にはムーアへの賛同者をイイ気分にさせるために「でも、もしかしたら、一人の男が作ったたった一本の映画が大統領の暴挙を止めることができるかもしれないのだ。一本の映画が、何百何千という人の命を救うかもしれないのだ。歴史上、多くの宗教家や哲学家や芸術家やロックミュージシャンが戦争に反対してきたが、実際に止めることに成功した人はどれほどいるのだろうか? でも、もしかしたらそれが初めて実現するかもしれないのだ」とまで言い切る。
けど、その肝心のマイケル・ムーア自身がパルムドール受賞後のインタビューに答えて、「くれぐれも言っておくけど、『華氏911』は政治声明じゃないんだ。他の娯楽映画のように映画館で2時間、楽しんでもらいたいんだ。僕が映画制作をスタートする段階で最初に考えることは、自分自身が金曜の夜に観に行きたくなるようなものを作りたいということ。(中略)そしてその何時間後、何日後、何週間後もその映画の話をしてくれるような楽しい映画を作りたいんだ」って言ってるのは何なんだろうね? タランティーノだって、「政治は受賞に何の関係もない」って言ってたけど。
もちろん、ウソをついているのはマイケル・ムーアの方である。あれが政治映画でないはずはなかろうが。言っとくが私は政治映画がダメだなんて言うつもりは全くない。町山さんのような立場で、ムーアを支持する姿勢は決して間違っちゃいないと思う。私だってブッシュは大嫌いだから、「本当に」アメリカの戦争を批判した映画になら、いくらだって賛同はしたい。
けれど、明らかな政治映画をなぜ政治映画でないと韜晦する人間に、どんな信用を置けというのだろうか。ムーアのその言質はただの「逃げ」ではないのか。ムーアさんよ、ブッシュを「本気で」批判する気があるのなら、そういう覚悟のない態度を取ってていいのか?
笑ってしまうのは、私のムーア批判に対して、「批判するのは簡単だけど」とか掲示板に書いてた人がいたことである。ムーアがそもそもブッシュを簡単に批判してるけど、それはどうなるのかね。
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09月01日(水)
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