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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■なんか居たたまれない一日でした。
練習の後半は「劇団改FREE’ズ+」の冨田文子さんにご協力を頂いて、ラストシーンのダンスの指導をしてもらう。事前に動きを知っていたのは客演の草野さんだけで、他のメンバーは全員これが初練習。冨田さん、3時間の練習時間を貰って、初めは「時間が余るかも」とか言ってらしたのだが、冗談ではない。ダンサーズ諸君、こうまで音感の悪いヤツを揃えたか、と言いたいくらいに覚えが悪い。……いやまあ、それは最初からわかってたことだから、台本段階ではどの曲についもデタラメに踊ったって話が成り立つように作っといたんだが、練習を重ねるうちになんだかどんどんマトモなダンスを踊りたがるようになっていったのである。自分で自分のクビ、絞めてってるんだよなあ。
3時間経って、何とかマトモに踊れるようになったのが4、5人。あとはもう、殆どワヤクチャである。各自、練習がない日もちゃんとダンスの復習とかしててくれてたら問題はないのだけれど、なんかサボリそうなやつもいるしなあ。
まあ、前途多難ではあるが、スムーズに行った公演なんて一度もないし、ある意味ウチの劇団が強いのは、「才能もなきゃ努力もしないのにそれでも芝居を続けてられる度胸」である。誉めてないか。
いや実際、不思議で仕方がないのは、自覚がないならともかく、自分たちが努力してない事実を知っていながら、それでも芝居を続けようとする意志だけはある、というその矛盾なのだね。
しげにはこれまで何度となく、「おまえは何をしたいんだ?」と聞いたことがあったが、はかばかしい返事が返って来た例がない。別に難しい答えを期待しているわけではなく、「面白い芝居を作りたい」とか、それだけでも構わないのだが、それもない。多分「面白い」という要素は、しげの考えている「芝居」の中心には存在していないのだ。じゃあどういう芝居が作りたいのか、と問い詰めると、黙りこんでしまう。そりゃそうだろう、しげには「作りたいもの」なんて何もないのだから。たまに苦し紛れに「宇宙の謎を解き明かしたい」とか言うこともあるが、解き明かしてどうするのか、それを芝居でどう表現するのか、やっぱり何にも考えていないのである。
しかし芝居に限らず、映画も、小説も、音楽も、いや人生そのものだって、結局は「無」から「有」を生み出す作業なのである。誕生は無意味だが人生は無意味ではない。というか、意味あるものにする自由を我々は与えられているのだ。私の書く芝居は、結局はそのことだけしか語ってはいない。それに共感できないのなら、私に脚本依頼するのはたいがいでやめてもらいたいんだけどねえ。
08月29日(日)
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