ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491678hit]

■「似て非なるもの」の休止
 どうしたものか、電話の向こうでは、しげが妙に上ずった、ラリった声をあげている。「きゃあ」とか「へへへ」とか、心ここにあらずみたいな感じなので、家でも外でも既知外に絡まれるのはちょっとカンベンだぞ、と思いながら、何があったのかと「いったいどうした?」と聞いてみると。
 「なんでもないよ、カメにエサやろうとしたら、フタを中に落としただけ」
 「……誰がお前にエサやっていいと言った!」
 「だって、オレだって、エサやってみたかったんだもん」
 「まさかお前な、『うりゃあ!』って思いっきりエサやって、水濁らせたりしてないだろうな」
 「してないしてない」
 「……ホントだな?」
 「ホントホント♪」
 帰宅して、溶けたエサですっかり濁った水の入れ替えに、私が苦労させられることになったことは言うまでもない。
 
 帰宅してからはずっと、輸入版CDの『Monty Python Sings』と『Eric Idle Sings Monty Python』を聞く。今度の芝居に『Always Look on the Bright Side of Life』と『Sit on My Face』を使うことは決まっているのだが、本当はもう一曲、『Galaxy Song』も使いたかった。しげに「雰囲気合わないよ」と反対されて断念したのだが、私はどっちかというとラスト近くは『Galaxy Song』の気分で書いていたのだけれども。
 CD三昧だったので、読んだ本は寺沢大介『ミスター味っ子U』1巻だけ。もうアニメ化になることはないと思うけれども、もしなったら、大人になった陽一はやっぱり高山みなみが演じるんだろうか。それとも子供の陽太か?


 春休み恒例の『ドラえもん』劇場版が、「充電」のため来年は休止とか。ちょっと気になるのは、その発表を行ったのが配給元の小学館と東宝で、実際に制作に携わっているシンエイ動画ではないことである。「今春の25本目を節目に1回休み、製作スタッフも入れ替えたい。平成18年には、さらに内容の濃いものを届けたい」と小学館は説明しているそうだが、まさか、他のプロダクションに作らせる、という意味じゃあるまいな。
 確かに、藤子アニメはシンエイ動画の専売特許というわけではない。これまでにもスタジオぎゃろっぷやマジックバスが『キテレツ大百科』や『SF短編シアター』をアニメ化している。『ドラえもん』のアニメ自体、旧版は「日本テレビ動画」の制作である(覚えてる? 富田耕生や丸山裕子の声の「ドラえもん」)。東宝と小学館が他のプロダクションに制作を発注する可能性がゼロだとは言えないのだ。
 ……オトナになったことの何がイヤかってね、「休養」とか「充電」とか聞くと、「裏に何かがあるんじゃないか」って、すぐ勘繰りたくなるとこなんだよねえ。で、実際にそーゆーことがあったりするし。シンエイ動画と東宝とがトラブったんじゃないかとかね。
 まあ、テレビアニメはこれまで通り放送されるということだから、多分それは私の妄想なのだろうけれども、毎年『ドラえもん』と『クレヨンしんちゃん』の連続2本の映画興行がどれだけタイトなスケジュールでなされているかは聞き及んでいるので、それでいてあれだけ上質の映画を作り続けているのは驚異であると同時に「息切れ」も止む無しか、とも納得してしまうのである。正直な話、もう「ネタ切れ」だろうと思う。ドラえもんとのび太たちは、宇宙も、空も、海も、地底も、密林も、魔界も、過去も、未来も、ありとあらゆる時空を冒険し尽くしてしまった。これから先、どこへ行こうと大同小異だ。映画上映は旧作のリバイバルでいいから、そろそろドラえもんを「原作通りに」未来に返してあげて、のび太を本当に「成長」させてあげてもいいのではないだろうか。マンガ家を変え、スタッフを変え、声優も変え、アメコミじゃあるまいし、『ドラえもん』がそうやって延々と受け継がれていくマンガであっていいのだろうか。

[5]続きを読む

07月12日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る