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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■優柔な憂愁/『よみきりもの』5巻(竹本泉)
 飛びこみ自体は法に触れないので、警察は取り締まりができないらしいね。「危ないからやめなさい」と警告するだけ。確かにリクツで言えば、誰かに迷惑をかけてるわけでもない、と言えなくもないしね。本人が怪我しても、「覚悟の上でやってる」と言われたらそれで終わりだ。
 でも、ホントは決して誰に迷惑をかけてないわけでもなければ、後先考えてるわけでもない。どんな事件が誘発されるかも分からないという「社会不安」を引き起こしているという事実は明らかにある。ただ、そのことを糾弾し始めたら、世の中の現象で社会不安のタネにならないものはないので、「あれもよくないこれもよくない」と、個人の自由そのものが侵害されかねないのだ。結局、一人一人の「熱が引く」のを待つしかないということなんだよねえ。行政でこの狂騒自体をなんとか収める手段はあるかなあと考えてはみるのだが、川をその日だけ堰きとめるってわけにもいかないしなあ。
 で、考えたのだが、大阪の場合、「今飛びこんどかないと、次のタイガース優勝はいったい何10年後か」というファンの「焦り」が飛び込みの増加を招いた面も大きいと思うのだ。だとすれば、福岡の場合、ホークスが毎年優勝し続ければ、ファンも「また来年があるからいいか」と鎮静化していくんじゃなかろうか。実際、巨人ファンがあれほど熱狂したって話は聞かない。多少、優勝の間が空いたからと言って、「常勝巨人」のファンとして、無謀なことをする必要はない、と彼らは考えているんじゃないだろうか。
 となれば、阪神ファンの命を救い、引いては大坂の町に治安を取り戻すためには、もう今後二度とタイガースには優勝させないことだ(^o^)。今からタイガースの方に常勝軍団になってもらうのには、かなり時間がかかるだろうからねえ。
 てなわけで、日本シリーズは社会平和のためにもホークスに優勝させなさい。いや別にそれが言いたかったわけではないよ。私ゃそもそも野球ファンじゃないのだから。


 福岡の一家4人殺害事件の犯人らしい中国人元留学生二人、王亮容疑者(21)と楊寧容疑者(23)が、中国公安当局に身柄を拘束された模様。
 王亮容疑者の方はあの似顔絵の人物だそうだけど、まだ写真が間に合ってないらしくて、テレビ報道では相変わらずあの「若いたけし」みたいな絵を流し続けている。楊寧容疑者の方はもう写真が公開されているので、並べて報道されると、なんとなく滑稽。あれですね、学校の卒業文集なんかで、みんなの写真をコラージュして見開きページ作ってるのに、一人だけ写真撮り損ねていて似顔絵になっているという……例えがヘンか。
 けれど、これで事件が解決するかっていうと、まだまだ前途多難な気はするね。いかにも「黒幕」がいそうだけれど、実行犯逮捕までにこれだけ時間が経ってしまっているのだ。その間、その黒幕さんが座したまま何もしないでいたとは考えにくい。既に何かの「手」を打ってるのではなかろうか。
 も一つイヤだなあ、と思うのは、これでまた「在日外国人の犯罪」を云々するヤカラが増えそうだなあ、ということ。ともかく他人を蔑む機会を狙ってる連中はこういう事件が起きるたびに、ここを先途とばかりに、公然と「だから○○人はよう」ってなモノイイをするからねえ。根拠のない批判はただの中傷だ、くらいのことはあの連中もわかっちゃいるから、これまで言いたくても言えなかったことを、やっと口実ができたとばかりにもう喜色満面で吹聴するのだ。
 在日外国人の事件を問題にするなと言いたいわけじゃない。ただ、自分の差別意識をさも公憤のごとくすり返る、その根性がさもしくって、見ていられないのである。
 黒幕さんが仮にいたとしたら、そいつが「トカゲのシッポ」としてあの留学生たちを使ったのは間違いないことである。どうせ日本人じゃないから、という意識もあっただろう。だとすれば、その黒幕さんと、容疑者を中傷する連中とは精神的に一脈通じている部分があると言えるんじゃないかな。


 マンガ、竹本泉『よみきりもの』5巻(エンターブレイン/ビームコミックス・756円)。

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09月20日(土)
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