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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■誉められ下手な話/『ガウガウわー太』7巻(梅川和実)
 「いや、怪我してるときはこういう親切が身に染みます」と仰るが、普通、こういう状況で傘を差し出さない人間もいないと思う(^_^;)。なんだかこの方、やたら私を買い被ってくれるので、かえって恐縮してしまうのである。
 乗り込んだバスの中でも、「藤原さんはすばらしいですよ、ご病気をされているのに前向きでいらっしゃって」となんだか妙に持ち上げられてしまう。こんなふうに誉められることくらい苦手なことはない。だって誉められてるのに怒ることなんてできはしないから、ひたすら恐縮し続けるしかないのだ。
 「私よりずっと苦しい思いをしながら闘病されてる方はたくさん見てますから、落ちこむようなおこがましいことはとてもとても」
 「いいや、できることじゃないですよ、滅多に。本当は苦しい思いをされたこともあるんでしょう?」
 「いやもう、そんなのは子供のころだけです。明日死んでるかも、と思いながら今日も生きてたら、だんだん落ちこむのにも疲れちゃいますから」
 実際、毎日痛みが続く、という類の病気ではないので、気持ちだけ落ちこんだって損するばかりなのだ。生来、呑気なほうなので、自分の病気や怪我のことも日頃は忘れてると言ったほうが正しいか。指が痛んで利かなくなってきてても、「まあ、そういうもんだろう」としか思わないのである。
 「とりあえず定年まではからだ持たせたいなあ、と思ってるだけですから。前向きがどうのって立派なもんじゃないんですよ、すみません」
 もう頭を下げて許しを乞うしかない。批判や悪口に対しては、反論もできれば身を交わすことだってできるけれど、称賛は一度捕まっちゃうと逃げられない。誉められてすぐに有頂天になれるタイプの人ならともかく、私は、自分が誉められるような類の人間でないことは重々承知しているから、誰のことを差して言ってるのかがピンと来なくて、うろたえるばかりなのである。
 上司は途中でバスを降りて別れたのだが、それからあとが道が大渋滞。結局、帰宅するまで2時間もかかってしまった。もう9時近くで、晩飯を作る時間の余裕もない。しかたなく買い置きのとろろ芋をすってメシにかけて食べるだけの簡単食事。まあ晩飯は本来この程度で充分ではあるんだろうが、なんだかやっぱり口淋しいのである。


 CSアニマックスで、今日から『ガドガード』が放映開始。
 製作はゴンゾで、脚本が會川昇氏。會川さんは、設定を作るのはうまいけれど、脚本を書かせるとしばしば暴走してしまうので、面白い作品になるかどうかは1話だけを見てもまだ未知数であるとしか言えない。主人公たちの「運び屋」って設定がうまく生かされたら楽しめる作品になりそうではある。作画はもうよくぞここまで動かしてるなってくらいに動いてはいる。テレビアニメかホントにこれって感じ。こんなの毎回作ってたらそりゃ落とす回も出てくるわな(^_^;)。


 マンガ、梅川和実『ガウガウわー太』7巻(新潮社/バンチコミックス・530円)。
 緩やかにではあるけれど、今巻当たりから「第2部」の始まりって感じになった。太助のみさとセンパイへの告白は予想通り(と言っちゃ悪いけど)あえなく玉砕、けれどそれでも「獣医になる」決意は太助の心の中で揺るがないものとなっていた。主人公の成長がキチンと描かれるマンガってのは、やっぱり読んでて気持ちがいいね。
 マジメに自分の道を進もうとしている少年には自然と女の子も慕ってくるもので、後輩の遠藤まいはもう大胆にアプローチしてくるし、委員長の尾田島淳子はかわいいくらいにジェラシるし、なんかラブコメみたいになってきました。その分、いつもの動物話は希薄になってるんだけど、まあ動物マンガのカテゴリーから大きく外れたりはしないだろう。何たって、近頃この作品くらい、作者の「描きたいもの」に真摯かつ忠実に描かれている(ように見える)マンガも珍しいのてある。多少、編集部から、「もっと女の子の出番増やして人気取りに行きましょうよ」とか言われてたとしても、梅川さんは自分の意志をきっと貫いていかれると思うのである。

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09月12日(金)
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