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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■不明を恥じるハナシ/『ビートのディシプリン』SIDE2(上遠野浩平)
 たとえば、伊武さんの場合、「中華料理の回転テーブルは目黒区生まれ」ってネタには「20へぇ」で、「『こめかみ』は米を噛んだとき動くから」には「10へぇ」だったけど、そこまで注意して見てる視聴者ってあまりいないんじゃないかな。こちらは、役者さんはこれくらい知ってるから今更なネタだよなあ、とか思って見てるんだけど、画面に映るのは一瞬だから、そもそも注意のしようもないのである(古手川祐子も9へぇ、タモリは5へぇで、共に一番低い。MEGUMIにビビる大木はやっぱり17へぇも押してやがる)。どっちかと言うと目立つのはいつもかぶってる帽子のほうで、「こないだドラマに出たとき、伊武さん、ハゲてたよなあ、あれ、ハゲ隠しのために剃ってるんだろうなあ」とかなんとかって関心の方が強いんじゃないか(^o^)。
 
 今回、一番高い「90へぇ」を獲得したのは、「111111111×111111111=12345678987654321」というネタ。投稿者は12歳の女の子だけど、算数の参考書のコラムにでも載ってたものだろうか。数字遊びをしてるうちに自分で発見した可能性もあるなあ。私も昔やったから。
 秋山仁さんをわざわざゲストに、計算させてるけど、まああの人ならこういうの大好きだろうなあ。途中、計算を間違えてたのももしかしてわざとだったりして。
 オタクがすぐこの番組のネタを「濃い」「薄い」で判断するのはもうやめた方がいいと思ってるんだが(私は最初から薄いことはどうでもいいと繰り返し書いている)、そう思うのはこのネタなど、その判断基準ではどうにも図れないからなんだね。
 純粋論理の産物である数学としての見地から考えれば、この数字もまたただの結果でしかない。そこには何の思想的、教養的な意味も付与されてはいない。にもかかわらず、この「並びの美しさ」がいかにも意味を持っているように、なぜか我々の脳は錯覚させられてしまうのである。
 まあ、あれっすよ、ピラミッドの底辺だか高さだか、いろいろ掛けたり割ったりしたら円周率が出たとかなんとか、そういうのに「意味」を持たせたがる心理に共通してますかね。
 これ即ち、我々人間が、シミュラクラを喜ぶ感性の持ち主であることを証明しているのである。その点で、このネタこそが「トリビア」の一番の特徴を象徴していると言えるんじゃないかな。

 でも、ほかのネタは演出も含めて相変わらず低調。
 「種」なんか、「日本中で一日に切られている髪の毛の量はどれくらいか?」ってよう、そんなん、いくらサンプル取ったって、計れるわけがないじゃん(正確に、ということではなく概算もムリである)。青山だけ調べたって、曜日や、地域によって、客量の差がこれだけ激しい業界もないんだよ。それを全く計算に入れてないんじゃ、ハナっから話にならないのである。床屋の息子が言ってるんだから、これは絶対だ(^o^)。
 まあ、アホなことやってるなあ、で終わるだけなんだけど、こういうのは、本当にキチンと計算できた方が格段に面白いのに違いないのである。だって、本当に全国津々浦々、スタッフが歩き倒して調べたとしたら、「スゴイ!」とは思いませんか。そこまでやらないのならどんなに汗水垂らしても所詮はただの手抜きだし、「そんなんできるかあ!」と怒るんなら初めからやらなきゃいいのである。中途半端なのが一番みっともない。
 種も最近はたいしたのがないし、視聴率高いわりにネタの提供者は少ないのかなあ。

 チャットであやめさんが、「今回のネタも殆ど知ってた〜」とブー垂れておられたが、「動物園では逃げ出した動物の捕獲訓練を着ぐるみで行う」というネタ、どこで仕入れてたんだろう。VTRで流れてたの、何年か前の映像で、しかも全国どこででもしょっちゅうやってるわけではないって説明もあったのに(上野動物園と多摩動物園が一年置きにやってるそうである)。私ゃこのネタだけは今回初めて知ったんだがなあ、もしかしてあやめさん、見に行ったことあるのかな(^o^)。


 上遠野浩平『ビートのディシプリン』SIDE2(メディアワークス/電撃文庫・645円)。

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09月03日(水)
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