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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■充実の休日。シャレかい/映画『乱れからくり』/『チキンパーティー』1巻(金田一蓮十郎)/『よつばと!』1巻(あずまきよひこ)ほか
日本映画の黄金期、俳優、三原健(西島秀俊)はスターとして活躍していた。だが、青春映画の相手役としてコンビを組んでいた女優・吉野恵子(麻生祐未)の引退後、彼は会社から見限られ始める。「映画の時代は終わるのよ」。かつて愛人関係にあった恵子の別れ際の言葉が、三原の胸に突き刺さる。荒れる彼を更に直撃する妻、千鶴(若村麻由美 )の不慮の死。彼は酒に溺れ仕事を失い、人々から忘れ去られていった。
35年の後、今やテレビの劇場版映画しか撮られなくなった撮影所に働く小道具係のミオ(麻生久美子)の前に、年老いた三原建(ジョニー吉長)が現れる。ほんの端役であったが、彼はまさに命がけの演技をミオに見せようとしていた……。
映画を愛する中田監督の思いがヒシと伝わってくるような映画。年老いた三原を演じるジョニー吉長さんが絶品。これで役者が本業じゃないんだから参っちゃうよね。
マンガ、金田一蓮十郎『チキンパーティー』1巻(秋田書店/プリンセス・コミックス・410円)。
昔、マンガの単行本には必ず著者近影ってのが載っていて、赤塚不二夫はバカボンパパのコスプレなんかしてたものだったが、最近は自画像描いても写真をナマで載っける人は随分少なくなった。女性のマンガ家さんとなると昔から殆ど写真を載せない。で、描かれる自画像が誰も彼もメガネ掛けた丸顔だったりするから、区別つかないのね(^_^;)。
金田一さんは珍しくも写真を載せ続けているが、いったい何でだろうと疑問に思っていたのだけれど(ペンネームが男名前なので女であることを主張するためかとも思ったが)、折り返しのコメントに「私はえらいポジティブシンキンです」と書いてあるのを見て、ああ、これかいな、と何となく納得した。勝手な憶測も入ってるけど、金田一さん、自画像なんかで自分を隠したり美化して見せたりするのがイヤだったんじゃなかろうか。読者だって、別にマンガ家さんのプライバシーを何もかも知りたいわけではないけれど、妙に隠されちゃうと、こいつもしかして後ろぐらいことやっとんちゃうかとか勘繰りたくもなるのである。露出を嫌うのもほどほどにしといてもらわないとねえ。
また悪いクセで本のナカミとたいして関係ない話をしてしまったけど、別に内容を説明したくないわけではないよ。それどころか全く逆で、久々に大笑いが特盛のギャグマンガである。掲載誌は『月刊プリンセス』だそうだけど、こういう毒のあるマンガを読んで今の女の子は育っていくのだねえ(^o^)。
一人暮らしの女子中学生、吉田毬央のマンションに突然押しかけてきた「トリ」。『オバQ』以来の「ヘンなやつの押しかけ居候」パターンではあるけれど、こいつのハタ迷惑さは尋常ではない。いやさ、普通こういう「押しかけ」パターンには「きっかけ」ってものがあるじゃないの。卵を拾ったとか地球の運命を賭けた鬼ごっこに勝ったとか。
それが何にもないのである。
「君が淋しそうだったから来てあげたよ!」
惹句に「ウルトラポジティブシンキン」とあるが、単に勘違いなお節介野郎だ。つか、なんで「トリ」? 着ぐるみ着てるのか、それとも……。
ともかく「地には平和を人には愛を」がモットーのこのトリさんが、毬央ばかりでなく、ご近所さんを巻きこんで、余計なお世話をしまくるのがこのお話。
デパートの屋上から飛び降り自殺しかけたOLのお姉さんに、トリさんがかけた言葉が以下。
「死んじゃうことに逃げ道を見ないで、もっと楽しいことに目を向けようよ! たとえばお家でマンガ描いたり気になる声優のCDを聴いて一人照れながら微妙な気分になりつつもほくそ笑むとか…どう? いや〜面白いよ声優。なんかクセになるからね! みやむーとか」
どうと言われても、トリでオタクなんである。みんな次の瞬間に、こいつに殺意抱くだけじゃなかろか(まあ私はみやむーは好きですが)。ああ、愛は地球を救わない(^o^)。
トリさんはすっかりご近所のウワサの的。おかげで毬央の部屋は、殴られ蹴られたトリさんの血飛沫で染みだらけ♪ もちろん殴っているのは毬央である(^o^)。
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08月31日(日)
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