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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■さよならロドリゲス/『クロノアイズ グランサー』2巻(長谷川裕一)/『謎解き少年少女世界の名作』(長山靖生)
 リクツとしてはグリーナムのやり方には一理も二理もあるから、主役であるグランサーとて完全正義にはなりえない。これまでにも善と悪との単純な二項対立に陥らない、ある意味、夢も希望もない「どうしようもない未来」とも見える世界を構築しながら(『マップス』なんて、宇宙消滅の予定調和で終わるはずだったんだものなあ)、なおそれを越える「指針」を描いてきた長谷川さんのことだ。きっとトンデモナイ落ちを用意してくれてるとは思うのだけど、やはりハラハラしてしまうのである。ダイナミックなSFマンガを書かせたら、長谷川さんが第一人者であることは間違いないと思うんだが、今までは何だか不遇をかこってたような気がしてならない。それがついに本年度の星雲賞コミック部門受賞。未読の人は前シリーズの『クロノアイズ』から揃えて読もう♪


 長山靖生『謎解き少年少女世界の名作』(新潮新書・714円)。
 オビに「大人にしかわからない名作のウラ側」とある。
 『フランダースの犬』『王子と乞食』『小公子』など、世界の名作の時代背景やウラ話を簡潔に纏めたもの。こういうのは実際の「なんとか名作全集」の最後にはたいてい付いてるんだけど、読者の子供への教育的な配慮なのか、あまり悪いことは書かないものである。
 でもアノ名作のアノ作者が実は徹底した人種差別主義者だったとか、アノ名作が書かれた理由は戦意昂揚が目的だったとか、子供でも知っといたほうがいいことってあると思うけどねえ。創作が欺瞞の産物だってことは事実だし。
 でも『吸血鬼ドラキュラ』の「伯爵=カウント」が「数える=カウント」に通じてて、それが「貴族の搾取」の象徴だってのは偶然の一致だと思うけどねえ。

08月07日(木)
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