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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■同情でもいいから少しはくれ(T∇T)/DVD『山村浩二作品集』/『沈夫人の料理人』1巻(深巳琳子)ほか
単純な二項対立の中に自分を置いて自らを「善人」に規定する意識は、私の一番忌み嫌うところであるが、それなくしては自らの行動を規定しえない人もいることも事実ではあるのだ。彼女のプライバシーをここで明かすことはしないが、彼女がともすれば極めてステロタイプな「正義」にすがる傾向があるのは仕方のない面はある、ということなのである。
「政治家がおカネ儲けばかり考えてるのっておかしいじゃない。政治家って、みんなのためにいるんだから、おカネなんて要らないって人がなるべきじゃないの?」
「そんなやついねーよ」
笑って否定してしまったが、鴉丸嬢のような理想主義者には、世の中というものはいつの時代でも生きにくいものだ。いや、彼女自身もそれには気づいていて、わざと悪人になろうとしている面もないではないのだが、どうしてもそうなりきれないのは、「悪を許す」心情が、彼女の場合、ヘタをすれば自我崩壊に繋がりかねない事情があるからだ。
彼女のような子にはホントに幸せになってほしいんだけどなあ、難しいよなあ、其ノ他君がもうちょっとしっかりしてるといいんだけどなあ。
2時間ほどしてしげが目覚めるが、起きるなり「腹が減った」。
自分の腹具合のことより、鴉丸嬢を待たせたことの方を悪いと思わんかな、こいつは。
鴉丸嬢を送って行くときに、「アンタも食事する?」と聞く。
ああ、しげは忘れているのだ。今日は私の通院の日だということを。当然、尿検査、血液検査があるのだが、そのためには朝メシ抜きで行かなきゃならないのだ。夫の体調よりも自分の食欲の方が優先するやつだとはわかっちゃいたけど、どうにもやりきれない。
文句を言ってやろうかとも思ったが、もしかしてギリギリで気がつくかもしれない、と一縷の期待をかけて、一緒に付いていく。
もちろん、しげにそんな期待をするほうがバカなので、鴉丸嬢を送り届けたあと、ロイヤルホストに入っても、しげは脳天気に「何食べる?」と聞くのであった。
「食べれるわけないじゃん。今日検査だし。先週から言っといたろ?」
「……じゃあ、店出る?」
またなんでそんな言い方をするのか。ここで一言「ごめん」と言えれば、コトはすむのだ。会話するのもイヤになって、あとは無言。
日が昇った頃に、内科と眼科をハシゴ。イヤなハシゴである。
病院への行きがけはしげに送ってもらったのだが、そのまましげは練習に直行するので、帰りは一人で帰るしかない。となると、両目とも点眼してしまっては前が見えなくなってしまう。だもんで、今日の検査は右目だけにしてもらうつもり。
本当は左目の状況も確認してもらおうかと思っていたのだが、しげはやっぱり自分のことだけで頭がいっぱい、私の状況なんて何も考えちゃいない。
こちらもいちいちしげに期待するのはムダだとわかっちゃいるので、今日は右目でこの次は左目と交代で見てもらうしかない。
しげにそのことを告げたら、またヒステリーを起こして、「練習休んで付き添えばいいやろ!」とか言い出す。こういうのが一番迷惑なんである。血の巡りが悪くて人のコトを気遣えないのは仕方がないとしても、そのことを指摘されて逆ギレするのは最大級のバカである。こうなると「お前には何も期待しないよ」としか言えないし、顔も見たくなくなる。
病院の近くの信号で停車した時に、無言で勝手に降りる。案の定、しげはそのまま練習に行く。だったら、最初から付き添ってやろう、なんてことを口にするものではない。腹が立つよりも、もうすっかり気が抜けてしまっている。
内科での検査結果は相変わらず悪い。
体重が落ちてきているおかげか、血糖値自体は少し下がっているのだが、目の状況を考えると、一気に落とし過ぎてもよくないのだそうだ。薬の効果も今一つないようならば、次回から量を増やそうかと言われる。イヤとは言えんがホントにクスリづけの生活になりそうなんだなあ。
眼科の方も、毎週通院して瞳孔開かされて光を当てられまくるのは結構苦痛なのだが、明日、目がどうなるかわからんのだからこれも仕方がない。
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07月05日(土)
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