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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■父の日に父から奢られる話/映画『ロスト・イン・ラ・マンチャ』/『20周年アニバーサリー 死霊のはらわた』
今日は、このレイトショーの主催の方が知り合いなので、応援のつもりで来館したとのこと。数日前の西日本新聞で、その金丸さんという方のインタビューが記事になっていて、「福岡にもっとホラー映画を根付かせたい」と語っていたことに意気を感じていたのだが、まさか知り合いの知り合いだとは思ってもみなかった。
上映前に友成純一さんのトークショー。
『幻影城』デビュー当時から友成さんの原稿は好きで読んでいたのだが、いきなり「私の原稿、町山君が結構、手を入れててねえ」と切り出したのには驚いた。町山君というのはもちろん映画評論家の町山智浩氏のことである。友成さんが大雑把な性格なのに対して、町山氏はデータに細かい几帳面な性格。だもんで、友成さんが適当な原稿を書くと、町山さんが不備を正して、更にはウンチクを「勝手に」付け加えてくれるのだそうな。
「ファンから、『さすが友成さん、よく知ってますねえ』なんて言われるんだけど、書いた覚えないんだよ」
と笑っておられたが確かに友成さん自身は大雑把な性格のようだ。普通はそこで困っちゃうものだと思うけど。
サム・ライミとシッチェス映画祭で初めて会ったときのエピソードも面白かった。なんとサム・ライミの方からいきなり友成さんに声をかけてきたそうだ。
「オウ、オマエ、ニポン人カ? アニメ好キカ? マンガ好キカ? ニポンノアニメノコト、イロイロ、教エロヤ」
ってな調子だったそうだ。サム・ライミが日本のマンガオタクだったことは知ってたが、見も知らぬ日本人にいきなり声をかけるほどのやつだったとはなあ(^_^;)。
今やすっかり下火になってしまったスプラッタ・ムービーだが、友成さんはそれを1980年代のビデオデッキの普及とバブル経済と重ねて説明する。それ以前ならお蔵入りになってしかるべき映画が、ビデオで簡単に見られるようになったこと、これが大きいと仰る。
「で、バブルが弾けてスプラッタもはじけちゃったと」
何かオチがついたところで、いよいよ『死霊のはらわた』の上映である。
友成さん曰く、この映画の見所は、「ヒロインが襲われるシーンの色気のなさ」だそうな。普通、ホラー映画はエロ映画でもある。ところが敬虔なユダヤ教徒であるサム・ライミは、どうしても女性に対してオクテな描き方しかできないんだそうである。『ダークマン』しかり、『スパイダーマン』しかり。そう言われるとそんな気がしてくるような。
今更これだけ有名な映画を説明するのもなんだかなあ、と思うのだが、実は私はこれが初見なのである。パート3の『キャプテン・スーパーマーケット』は見てるんだけどね。
3はすっかりお笑いになっちゃってたんだけど、第1作はマトモなホラー映画かと思ってたら、やっぱりどこかヘンなのであった。一応ニュープリントなんだろうけれど、どうも色調自体が70年代っぽく見えて古臭い。当時も多分「古い」と思われてたんじゃないか。
もう、山小屋に5人が向かうファーストシーンから、作りが適当なことと言ったら。色調はカットごとに変わるし、ブルース・キャンベルの隣の女の子がカットごとに消えたり現れたり。テリー・ギリアムが見たら怒るぞ(^_^;)。
トラックとのすれ違いショックシーンも全く無意味。でも、山小屋に入った途端、演出が急に懲り出す。漏れ込む光に揺らめく埃、斜めのアングルを多用して画面に不安感を与えるのは『第三の男』のテクニックだ。
「自分が何を撮りたいか」が、ハッキリとわかる。確かに80年代にこれを見ていたら、「俺もこんな好き勝手に映画を撮ってみたい」と思ったかもしれない。
でも「撮りたいものを撮った」からと言って、面白くなったかどうかってのは、まあ、こういうのはカルトだからねえ。どんなに気持ち悪いメイクして「悪霊憑き」を演じても、「メイクじゃん」としか思わないので全然怖くないのである。隠れて、次にどこに出てくるかもわかるし。
一度死んでも蘇えってくるので、これも一種のゾンビなんだろうが、目を閉じて死んだフリしてキャンベルを襲う、なんてドリフみたいなギャグ、やるかな、フツー(^_^;)。
しかし、このチープな映画の監督さんが今や、ねえ。
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06月15日(日)
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