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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■東京遁走曲/『明日のナージャ』第5話
待ち合わせは11時だけれど、早めに来てくれるとのこと。場所は実はハチ公前なのだが、なにしろ私が渋谷に来るのも20年ぶりである。しげは確か、何年か前に来ていたはずだが、一度来たきりの街の様子など、あのしげが覚えているはずがない。念のため、こうたろう君に案内してもらったほうが安心である。
と思っていたら、こうたろう君も「渋谷になんかもう何年も来てねえよ」とのこと。うーん、ちゃんとすれ違わずにヨナさんたちと会えるのだろうか。
11時ぴったりにハチ公前に。
忠犬ハチ公のエピソードを知らない若い人も今どきゃゴマンといるが、さすがにこんなことの解説までする気はないので、自分で調べなさい。
私がハチ公を見ながら考えていたのは、「そうかそうか、『ガメラ3』の炎はこの角度で来たんだな」ということだけである。いや、ツイやっちゃうってのがやっぱり重度なのであるよ。
しかし、なんとまあ、待ち合わせの人間の多いことか。こうたろう君が、「大学のころも一度だけ渋谷のハチ公前で待ち合わせたよなあ。あれ、なんで集まったんだっけ?」と聞いてくるけれど、待ち会わせしたこと自体は覚えていても、目的はもう記憶のはるか彼方である。でもどうせ、映画を見るとか映画を見るとか映画を見るとかだったに違いない。アウトドアなことは一切しなかったし、レジャーとかナンパとか合コンとかカメラ小僧とかアイドルの追っかけとか、全然そんなものに縁のない大学生活だったのである。
でも、本と映画と芝居さえあれば、ほかに何も要らないよな。
こちらがヨナさんたちを見つける前に、ヨナさんがこちらを見つけてくれる。
久しぶりの邂逅だけれど、こないだとヨナさん、ちょっと印象が違うな、と思ったのは、前回はヨナさん、無精ヒゲを生やしていたのだった。
今日、ツルンとしたお顔を拝見していると、ヨナさん、何となくゆうきまさみに似ているように見える。と言っても、顔立ちというよりは、どこかスンナリとしている雰囲気がであるが。もっとも生のゆうきさんもトークショーなんかで二回ほどしか見たことがないので、ウロオボエの記憶の印象でしかない。
あやめさんはチャットでお話していた通り、和服でのご推参である。勝手に振袖か何かを想像していたのだが、考えてみたらそんなことがあるわけないのであった。「ここに来るまでにいろんな人に振り返られちゃったんですよ」と恥ずかしげに仰るが、ここでつい、「それは着物のせいじゃなくて、あやめさん御本人にじゃないですか」と口走りそうになって、慌てて口を抑える。
いくら私が物怖じしないタイプ(←要するに「厚かましい」ということだな)だとは言え、さすがにヨナさんとしげの目の前でそんなことを口走って、生きて帰れる保障はないということに気づいたのであった(^_^;)。
こんなことを書いてるからと言って、私が手当たり次第だなどと思わないで頂きたい。こう見えても私は、昔からシャイで引っ込み思案で通ってるのである。誰に通ってるのかは不明だが。
まずは、腹ごしらえ、ということで、ヨナさんの案内で しゃぶしゃぶの食べ放題の店に向かう。
街中を歩いていると、何となく既視感を覚える。
実は前世で私は「渋谷のプリンス」と呼ばれた雀卓の騎士であった、などということは全くなくて、街並みが博多の中洲によく似ているのである。妙に道が蛇行しているのに、建ってるビルは道から張り出さずに整然と並んでいる。一見、行儀よく見えるけれども何だか居心地の悪い繁華街、という矛盾した感じが中洲っぽいのだ。あまり誉めてる表現ではないから渋谷の人は気に入らないかもしれないが。しげにも「中洲に似てない?」と聞いたら、「ああ、似てる」と納得してたから、私だけの感覚ではないようだ。
とあるビルの中に案内されるが、そのお店、開店が11時半からであった。ほかにうろつくところとてないので、そのビルの地階のゲームコーナーを見て回る。こうたろう君からUFOキャッチャーで、ぬいぐるみを取ってくれと頼まれるが、アームを見てみるとネジが緩められているのが分る。ムリだろうなと思いながら挑戦してみるがやっぱりアウト。ゲーセンも最近はこういうセコイところが多い。
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03月02日(日)
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