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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■絆創膏綺譚/『逆説の日本史7 中世王権編』(井沢元彦)/『魔法使いさんおしずかに!』1・2巻(竹本泉)ほか
高千穂さんが『ジョウ』の新作を書かなくなって随分経つ。『ダーティペア』も『FLASH』になったかと思うとこれも中断した。性格は悪いが、高千穂さんの書くものは間違いなく面白いのだ。新装版も出してるんだし、このへんで新作書いてくれよう。頼むよ先輩(大学が同じなんである)。
井沢元彦『逆説の日本史7 中世王権編』(小学館文庫・630円)。
井沢さんの「言霊論」は、おおいに首肯できるのだが、何かにつけ「憲法を改正して、自衛隊を軍隊として認めよ」と主張するのはどうにも頂けない。
それは別にエセサヨク的な絶対平和主義を主張したいからではなくて、井沢さんの「言霊論」に納得しているからである。
「コトバ」が実体を規定するのが日本人の伝統であったのなら、「自衛隊」を「軍」にしちゃったら、自分から「戦争」始めちゃうでしょう。「軍」って、「いくさ」って意味だから。「いや、これからの日本は言霊に振りまわされてはいけない」、と井沢さんは言いたいのかもしれないけれど、千年以上も残って習俗化し、日本人の意識の底に染み付いてる感覚が消え去るわきゃないよ。
「自衛隊」が「軍」になったら確実に暴走するね。侵略戦争起こして平気でいるよ。だって「軍」なんだもん。そうなったら井沢さん、責任取れるの?
今巻は「足利幕府と南北朝」編。足利尊氏の安易な平和主義が、いかに戦争を拡大させていったか、という考証には説得力がある。だからと言って、それをストレートに現代に重ね合わせようとする姿勢もまた安易だとは思うが。
「過去の歴史に学んで現代を見る」という行為を否定しはしないけれど、それは歴史研究家の姿勢じゃなくて、政治家の態度なんだよね。「その時代の感覚」はそう簡単に現代に流用できるわけではない。わずか10年、世代が違うだけで意志の疎通ができないことだってあるんだから。時代の分析をしてくれるのはいいけれど、「だから現代の政治は」みたいな語り方をするのは誤解を生じさせるよ。作者自身、「昔と今とでは常識が違う」と幾度となく主張しているくせに、どうしてこう自己矛盾を起こすのか。
これまで省みられることの少なかった足利義教についてスポットライトを当てる視点はいいんだから、青島幸男と比較してどうのって言うのはやめようよ。青島幸男は確かに政治家なんだけれども、足利義教は「政治家」じゃないんだから。そんな言葉で呼ばれたことはないんだから、言霊信仰から言えば、あくまで義教は「将軍」なんである。
永井豪原著作・セクシーファンタジー・ライティングスタッフ作『永井豪ショッキングエッチコレクション』(講談社・1050円)。
説明はいらんな、タイトル通り、永井豪のマンガの中からエッチなシーンばかりを抜き出して、解説を加えたもの。
例えば、SMシーンの解説に、「SMというと特殊な世界のようにとらえていることも多いかと思うが、人間は誰しも多かれ少なかれSとMの部分を持っているものだ」とか書いてあるけど、そんな解りきった駄文にページを費やすくらいなら、もっとエッチシーンを思いっきり収録してほしいものだ。特にカラーページが全くないのがなんとも残念。
でもイラストだけにしちゃうと、原著作の権利が発生して、使用量がバカ高くなっちゃうんだろうなあ。文章がついてれば、「引用」ってことでタダだもんね。
ともかくこの本は十兵衛の、菊ちゃんの、法印大子の、女蛮のママの、弁天ゆりの、けっこう仮面のエッチシーンを楽しめばそれでいいのだが、巻頭の永井豪インタビューで、「『ハレンチ学園』がなぜ叩かれたか」についての作者自身による分析は、マンガ表現を考える上では必読のものではなかろうか。
永井豪は性を描いたから批判されたのではない。「学校」という権威をコケにしたから叩かれたのである。それを性の問題に捻じ曲げるというヒレツなことを当時の親たちは錦の御旗のようにして行った。
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02月13日(木)
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