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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■閃光の意味は/アニメ『明日のナージャ』第1回/『グーグーだって猫である』2巻(大島弓子)
 我々には、彼らの死がどんな意味を持つのか、永遠にわからない。そしてそれは我々自身が生きる意味を見失っていることと同義なのである。
 今回の事故について、私が“直接的な”興味を持つのは、実はその一点だけである。

 もう一つは、これからしばらく、この事故に関しての世間の反応がどうなるか、それが一気に私のアタマの中に経巡ってしまい、暗澹たる気分になってしまったことである。
 今、書いた通り、今回の事故について我々は本来何も語れはしないのだ(もちろんそれはこういった「人の死」にからむ事件では全てそうなのだが)。
 しかし、「解釈」が世間に横行することは眼に見えている。
 まず、宇宙開発の是非を問う陳腐な言質が飛び交うだろうことも想像に固くない。そこには俗悪なキレイゴトと、定番な揶揄・皮肉が錯綜し、結局は「何を語ってるんだか分らない」混乱が引き起こされるだけであろう。
 そして時が経てば全てがウヤムヤになる。
 いったいこの事故は「何」なのか? その本質が問われることは決してあるまい。と言うより、誰も、その「本質」については触れたくはないのだ。
 ……まあ、私もそのことをあまりズバリと言っちゃって不必要にテキを増やしたくもないので(今更)、ちょっと婉曲的な指摘だけをいくつかしておこう。

 今回の事故に関して、テレビはさかんにブッシュ大統領の事故報告の演説を流した。私はこのニュースを「遅れて」見たので、サワリの部分しか見ることはできなかったが、新聞各紙に掲載されていた要旨と見比べてみると、ある部分が意図的に欠落させられていることがわかる。
 演説のほぼ最後の部分、「乗組員は無事地上に帰り着くことは出来ませんでしたが、神の下へ召されたことでしょう」である。ナマで報道されていたときには当然この部分も放送されていたとは思うが、午後の報道ではどの局も軒並みこの部分はカットされていたのだ。
 ……偶然ですかね、これ。
 これは敬虔なクリスチャンであるらしいブッシュ大統領ならば当然口にしたセリフであろう。別段「不自然」なセリフではない。
 しかし、イスラム圏ならばカットされるかもしれない(逆にブッシュ批判を煽るために放送するかも)この部分が、なぜ、「日本で」カットされてしまうのか。ネットをいくつか散策してみたけど、この件に関して、言及してる人って、全然いないのである。
 それとも私が見てないところでは結構、この部分は放送されてたのかもしれない。しかし、そうでなかったなら、この部分を削除した「意志」はいったい誰のものなのか。この「発言カット」の件について何一つ問題視する向きがないという事実に、日本人の総体的な「意識」が関わってるんじゃないかな、とどうしても思ってしまうんである。

 SF作家の野尻抱介さんのホームページの掲示板で、このブッシュ大統領の発言に対して、「そんな事をする“神”は悪意に満ちた存在に違いない」と噛みついている人がいた。山本弘さんの掲示板でも結構トンチンカンな発言をされてる人なんで、またまた「あ〜あ、やっちゃったよ」という感じである。
 もしかして『魔王ダンテ』か『デビルマン』でも読んでこういう発想を持つに至ったのか(~_~;)。もちろん個々人がどんな思想を持とうが、そりゃ自由なんだけれど、「日常的に」こういうことを口にしていたとしたら、ちょっと融通が効かなそうというか、やや近寄りがたいところがあるように思う。
 思想の自由は自分ばかりでなく、相手にだって保障されるべきものだ。しかしこの人の場合、自分の発言が、信仰心の厚い人に対してどう受けとめられるか、ということについて、思いが至っていない。意見を語るな、ということではなくて、「人んちの掲示板に、相手が何を考えているかを忖度せずに乱入するのは荒らしだ」ということなんだけど、そういう発想が基本的になさそうなのである。
 でも、こういう「無自覚さ」はこの人に限ったことではない。
 山本弘さんとこの掲示板を初めとして、いくつかの掲示板でこの事故の話題をしているところを回ってみたが、予想通り、「七人の宇宙飛行士の方々のご冥福をお祈り申し上げます」のオンパレードである。

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02月02日(日)
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