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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■『青空侍』2冠目!/『イリヤッド 入谷堂見聞録』1巻(東周斎雅楽・魚戸おさむ)ほか
未見の映画もあるので、順当な審査結果、と私が言いきることはできないが、必ずしもアニメファンの話題に上らなくても、「これはちゃんと評価しようよ」って審査員が考えている雰囲気がよく伝わってくる。でなきゃ、普通、『頭山』はエントリーされないよな。
セルアニメかCGアニメか、とか、商業映画か文化映画か、というカテゴリーに拘らず、「アニメの未来を見据えたもの」として評価されてるのが嬉しい。
『戦国』=『青空侍』は、アニメファンの間でも賛否両論が激しかったようだが、まず勘違いしちゃいけないことは、「アニメーション」って映像のジャンルを表す言葉じゃないってことである。
じゃあ何かって言うと、専門用語を使えば「メチエ」、簡単に言えば「技法」「手法」であって、表現のための一手段だってことなんだね。今回の『青空侍』ほかの作品は、みな、そのことをハッキリ示してくれているんである。まずは「映画ありき」、それから「実写」を選ぶか「アニメーション」を選ぶかって区別があるってことなんだね。『青空侍』が映画の王道を行ってるのは当たり前なんである。
『ギブリーズ episode2』が選考からハズレてるのはちょっと残念だが、まあ、実験アニメにすらなってない部分が多かったから、仕方ないやな。
宮崎駿と比較されてネット上では不当に評価の低い『猫の恩返し』や、実写的リアル描写とアニメーション描写の融合を図った『WXV』にも票が集まってるのが嬉しい。
概して、私が「面白い」と思ったものが、ちゃんと「ここでは」評価されてるんである。……なんだ、オレって結構、映画見る目あるのかも。とかなんとか自画自讃してみる。
でも実は、大藤賞の『千年女優』は私にはイマイチだったんだよなあ(^_^;)。
ってゆーか、おかださんも講評で語ってるが、「欠点」が見えすぎるのである。しかも「ここをこうすればよくなるのに」ってところがいっぱい。
もともと、現実の人間が虚構の世界に入りこみ何役も演じる、というのは、「映画の手法」ではなく「演劇の手法」である。基本的に「アニメでしかやれないこと」「アニメだからこそ効果があること」ではないのだ(もちろんそうでない描写もあるにはあるが)。
試みが面白いだけに、脚本、演出、演技、全てにおいて「もう一歩」感が強い。このうちどれか一つでも突出してれば、多少の欠点があっても「いいぞこれは!」って推すんだけどね。いやね、「女優の世界」を描いていながら全体の印象が地味なんだわ、これ。
そうだなあ、年取った千代子を一切画面に出さずに声だけで描く、とか、描くにしても見た目全然年を取っていないように見える、くらいのことをしてくれてたら、もっと面白くなったと思うんだけどねえ。
中途半端な力作になるより、思いきって冒険しようよ、アニメなんだからさ。
あ、それから実写の大賞の方は『たそがれ清兵衛』でした。
見に行けなかったから、これはDVD買うぞ。
マンガ、東周斎雅楽作・魚戸おさむ画『イリヤッド 入谷堂見聞録』1巻(小学館/ビッグコミックス・530円)。
こないだネットカフェで読んだんだけど、おもしろかったので購入。
トロイアの遺跡を発掘したシュリーマンは、その晩年、アトランティスの発見を夢見ていた……ってのはどこまでホントなのかね?
もちろんこれはフィクションなんで、「アトランティスは実在していた」ってのが真相じゃなきゃ面白くない。さあ、大陸移動説をいかに否定するか、楽しみだな(無視しそうな気はするけど)。
古代ギリシャの哲人プラトンが『ティマイオス』『クリティアス』に書き残した幻の古代文明、アトランティス。シュリーマンの孫・パウルはその日記にアトランティスの秘密を書き残したと言う。
その日記を入手した大富豪ヴィルヘルム・エンドレは、世界の大富豪を集めて、アトランティス探索の極秘プロジェクトを始動させた。しかし、その矢先、彼は謎の組織に暗殺され、魔の手は彼の娘・ユリにまで伸びる。エンドレが最期に娘に言い残した言葉は「日本に行け」。
シュリーマンはかつて、来日していたことがあった。そしてそこでアトランティスの手がかりをある人物に伝えていた……。
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01月18日(土)
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