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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■インド人にビックリ/『膨張する事件』(とり・みき)/『バンパイヤ/ロックの巻/バンパイヤ革命の巻』(完結/手塚治虫)ほか
 実は、この中で私が顔を知ってるミュージシャンといえばニール・セダカとポール・サイモンしかいないのだか(だからホントに音楽には詳しくないんだってば)、言われてみると安孫子さんとよこたさんの二人の似顔絵がピッタリに見えてくるのである(^o^)。いや、錯覚だってことはわかってるけど、そう見えてしまうところがマンガのチカラなんでね。
 悔しいのだけれど、私にはあともう一人のキャラクター、シンシア・ウェイルが誰の自画像であるかがわからない。劇画チックな絵柄なので、少女マンガ家ではない気もするが、今村洋子でも里中満智子でも池田理代子でもない。トキワ荘に入ったことのある女性は水野英子だけだし、赤塚不二夫のアシストをしていた土田よしこの自画像は全然違うマンガタッチのものである。
 こういうときこそ、ネットでの情報がモノを言うと思って探してみたのだが、こんな細かいネタにまで触れてる記事が全くない。もしかしたら世界で唯一『アルデン荘物語』について詳しくレビューしているのがこの私の記事ではないのか(^_^;)。
 誰かご存知の方はいらっしゃいませんか。

 『アルデン〜』の話ばかりになってしまったが、この本は『事件の地平線』を始め、実際にちまたで起きた事件をネタにして、ギャグマンガにしたものがほとんどである。
 これが面白いかどうかと言うと、なんつーかね、微妙なんである。
 例えば1998年8月の技術試験衛星の「おりひめ」「ひこぼし」のドッキング失敗のニュース、これを「おりひめ、ひこぼしという名前がそもそもよくない」と、宇宙開発事業団が名前をほかに考える、というネタなんだけれど、まあ、どういう展開になるか、見当はつきますわな。最初はマトモなものがどんどんヘンになっていく、というのはギャグの定番だけれど、よっぽどのモノを出さないとこれって落ちがつきにくい。ムリが目立って逆に白けてしまう例も出て来てしまう。
 「アダムとイブ」「いざなぎ・いざなみ」はまだいいとして、後半は「キングコング対ゴジラ」「キクとイサム」「マダムと女房」「敏いとうとハッピー&ブルー」「パンダコパンダ」と、これで笑えと言うのか、というラインナップになって来るのだ。
 いや、微妙につまらないところが面白いと言えなくもないが、それはやっぱりつまらないってことなんだろう。
 で、このつまらないネタも、田中圭一の『神罰』のように、手塚キャラでやってたら笑えたかな、と思ったときに、とりさんのキャラクター、マンガとしては「弱い」あるいは「重い」んじゃないか、ということを感じたのである。
 とりさんが吾妻ひでおの影響を受けていることはご本人も認めていることだが、では吾妻さんが生み出した様々なキャラクター、例えば三蔵や不気味やナハハや阿素湖素子に匹敵するものって、あまりいないのではないか。いや、全くいないとは言わないが、本作では私の好きな秋田先生も吉田さんも登場しない。とりさんの今の太い描線で彼らの個性を描き出すのはなかなか難しくなっている。あのタキタさんですら、本作ではその個性を『遠くへ行きたい』ほどには表していないのだ。
 シリアスなマンガも描くが、とりさんの本質はやはりギャグマンガにあると思う。できれば16ページなら16ページ、まとまった形でのとりギャグを見せてほしいのだけれど、なかなか掲載誌がないのかもなあ。
 もしかして、未だに『てりぶる少年団』の失敗が尾を引いてるのかも(^_^;)。


 マンガ、手塚治虫『ヒゲオヤジの冒険』(河出文庫・819円)。
 世代的に言って、私が初めて出会った「ヒゲオヤジ」は、もちろん『鉄腕アトム』である。モノクロ版のヒゲオヤジの声は矢島正明さんであった。


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01月05日(日)
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