ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491708hit]

■江川卓>○○○/CD『ちょんまげ天国』/DVD『ハレのちグゥ』4巻/『ほしのこえ』/『オトナ帝国の逆襲』
 こうなるとホントに申し訳ないから私も日ごろから掃除をしようかという気にもなるが、それでもしげが一切手伝わないのはわかりきってるのである。実際そうだったし。寝腐ってるしげを横目で見ながら黙々と片付けてると、なんかホントに寄生虫飼ってる気になって腹立ってくるし。でもだからって、自分が寄生虫になり返してちゃしょうがないってのもわかっちゃいるんである。
 でも既にこの家は自分一人でどうにかできるレベルを越えてしまっている。こうなったら誰かに手助けしてもらって……って、発想、しげと同じじゃん。


 買ってきたCD『ちょんまげ天国』をかける。
 ペリー荻野さん選曲のテレビ時代劇音楽集なのだが、ペリーさんが私と全く同い年なので、一曲一曲聞くたびに「ああ、これこれ!」という感じで実にこちらのキモを突いてくれるのである。
 『水戸黄門』や『銭形平次』なんかは入れとかなきゃってもので、まあどうだっていいんだけど、やっぱ『子連れ狼』は「しとしとぴっちゃん」の方じゃなくて『ててご橋』だよな、というのは実際にリアルタイムでテレビシリーズを見てた身には納得の選曲なのだ。アンタ、あのオープニング演出、実相寺昭雄だからね。オタクならあの白黒赤のコントラストの利いたオープニングに感動してこそってものであろう。
 『木枯し紋次郎』がかかってるの聞いて、鴉丸嬢、「オッサンがトラクターに乗って出てきそうな」とか言う。小林旭かっ! 無知は罪ではないが腹立つな。

 ラインナップ全部について感想書くとまたそれだけで今日の日記が終わっちゃうので、一部をかいつまんで。
 『浮遊雲』は当然、山城新伍のアニメ版でもましてやビートたけしのクソバージョンでもなく、渡哲也版の『GIVE UP』。古いモノ好きのしげにもこれは記憶に残ってない。そんなに昔だったかなあ。
 藤田まこと歌う『てなもんや三度笠』はただひたすら懐かしい。
 加藤剛歌う『風と雲と虹と』は今聞くともう「歌の常識」というものを根底からひっくり返してくれるくらいキョーレツ。当時は聞き流してたけどなあ。サビの部分の全く意味不明な「オーラオラオラオーラ」って「雄叫び」をいったいどう受けとめたらいいのか。作詞は劇作家の福田善之、作曲は山本直純である。こういう名曲も山本さん作ってたんだよなあ。
 全26曲のシメは『暗闇仕留人』から西崎みどりの歌う『旅愁』。小学校の修学旅行のバスで歌って顰蹙買った思い出があるな(^_^;)。名曲なのに。

 もちろん「あの曲はどうした」という思いが残るのはこういうセレクションものの常である。『ぶらり信兵衛道場破り』がないぞとか『素浪人月影兵庫』『素浪人花山大吉』がないぞとか。NHK少年ドラマシリーズ版の『快傑黒頭巾』は音源残ってないのかとか。

 戦後の映画の歴史において「時代劇」こそがエンタテインメントの中心であった時代があったことは断言できるが、テレビにおいてはどうであったかというとこれはちょっと微妙である。昭和四十年代前半くらいまで、往年の時代劇スターは『半七捕物帳』などに主演していた長谷川一夫を除けば、あまりテレビ出演をしたがらなかったからだ。それは結果的に「テレビにおける時代劇スター」を生み出したが、大部屋俳優に主演のきっかけを与えた効果がありはしても、作品自体が時代劇の深みを感じさせてくれるほどの出来にはならなかったことは『隠密剣士』を見返して見てもわかる。
 大物スターが節を屈してテレビ出演するようになった頃には、残念ながら彼らの「旬」はとうに過ぎていて、それらは黄金時代の輝きを持った作品ではなくなってしまっている。片岡千恵蔵の『世直し奉行』しかり、三船敏郎の『荒野の素浪人』しかり、萬屋錦之介の『子連れ狼』『破れ傘刀舟』しかり、勝新太郎の『座頭市』しかり。

[5]続きを読む

11月23日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る