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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■そりゃテレビは全部宣伝でしょ/DVD『ほしのこえ』/DVD『100%の女の子』/DVD『刑事コロンボ 仮面の男』ほか
 アニメージュ・ライブラリーの第1弾という触れこみだけど、第2弾の予定があるんだろうか。気になるのはオビに「石原慎太郎絶賛!!」とあること。これって宣伝としてはかえってマイナス効果になりゃしないか(^_^;)。「この知られざる才能は、世界に届く存在だ!」って、アンタがアニメの世界知らないだけでしょ。個人でアニメ作ってる例なんて、実験アニメの世界じゃ昔からザラにいるぞ。でもオタクじゃなきゃ、日本のアニメって、スタジオジブリとポケモンとサザエさんしか知らないってのが普通のレベルなんだろうしねえ。
 それはそれとして、問題は作品の出来映えだ。
 ……いいよ、これ(T∇T)。
 わずか24分の作品、けれどそこに凝縮された思いはまさに「永遠」だった。

 近未来。
 宇宙人(タルシアン)の侵略から、地球を守る選抜メンバーに選ばれた少女、ミカコ。恋人のノボルに別れを告げて、ミカコは宇宙からノボルの携帯にメールを送り続ける。
 戦場は太陽系を離れ、はるか銀河にまで広がる。ミカコのメールは、既にノボルのもとには届かない。そして、ウラシマ効果で二人の年齢も刻々と離れて行く。
 そして、最後の戦闘。
 16歳のミカコは、25歳のノボルに、最後のメールを送る。

 すれたSFオタクなら、このネタが既成作品のいくつかにインスパイアされていることはすぐに気がつくと思うけれど、それでもやはりそこには静かな、そしてムネが絞めつけられるような切なさがある。
 タイトルは「ほしのこえ」だが、実際に見ていて一番印象に残るのは、空と、雲の描写だ。二人が地上に一緒にいたときに見上げた空、ノボルが遥か彼方のミカコに思いを馳せて見上げた空、ミカコが見下ろした地球を覆う空と雲、青空、夕焼け、入道雲、鰯雲、飛行機雲……。
 それは風景であって風景ではない。二人の心を映し出す鏡だ。そして観客は、その鏡に映った自分の心も見ることになるのである。

 しげに『ほしのこえ』を見せながら、「これ、全部一人で作ったんだってさ」と言ったら、「ヒロインの声も!?」と驚かれた。んなワケあるかい(-_-;)。
 でも、ノボルの声は新海監督自身なんである。
 

 DVD『100%の女の子&パン屋襲撃』。
 昨日の『ビリィ★ザ★キッド』に続く山川直人監督の自主制作短編映画。原作は村上春樹である。
 たしかこの『100%の女の子』を私は、公開当時から間もなく深夜テレビの短編映画特集かなにかで見ている。そのときには主演が室井滋だったことに全く気付かなかった(『ビリィ』よりも以前の作品だから当たり前である)。
 冒頭の「ある晴れたカンガルー日和の朝、原宿の裏通りで僕は100%の女の子とすれ違う。たいして綺麗でもなく、素敵な服を着ているわけでもない。しかし50メートルも先から僕にはちゃんとわかっていた。『彼女は僕にとっての100%の女の子なのだ』と」というナレーションとともに、コマ落としで室井滋が向こうからやってくる。まさしく彼女は「綺麗でもない」。だからこそ、このナレーションにはリアリティがあった。
 恋は要するに思いこみである。
 その思いこみが男女間で双方向に向いていて、お互いがそれを自覚している状態を「幸せ」と呼ぶ。まさしくこの『100%』は、恋の本質を言い当てた物語であるのだが、同時に100%の恋がいかにして崩壊するかを描いた物語でもある。
 「100%の恋でも壊れちゃうの?」との声にはこう答えよう。
 「でも恋って『思いこみ』だから、100%と0%は、実はイコールなんだよ」と。
 だからこれは「悲しい話」なのである。
 『パン屋襲撃』は観念論が現実によって打倒される物語を観念的に描いた作品(^o^)。つまりメタギャグなんだけれど、このギャグ感覚ってなかなか理解してもらえないんだよね、私は好きなんだけど。
 

 DVD『刑事コロンボ ハッサン・サラーの反逆“A CASE OF IMMUNITY”
』。
 原題の「IMMUNITY」ってのは「免除」という意味だけれども、主人公のハッサンが、外交官特権で捜査の対象から外されることを指す。それをコロンボがいかに追いつめて行くがか今話のミソ。

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10月27日(日)
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