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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■チチに弱い男ばかりじゃねーぞ/『アフター0 著者再編集版』3・4巻(岡崎二郎)ほか
いったい、いつから若本さんはこんなに濃くなっちゃったかなあ。「若本紀昭」時代はまだ普通だった気がするんだが。私の記憶では、『アッセンブル・インサート』の課長役あたりからじゃないかと思うんだけど、これも違ってるかもしれない。いや、いいんですけどね、濃いの好きだから。
マンガ、岡崎二郎『アフター0 著者再編集版』3・4巻(小学館/ビッグコミックス・各530円)。
『大いなる眠り子』シリーズを二分冊して収録。『アフター0』唯一の連続作品なだけに完結7・8巻に収録されると思ってたけど、随分早く収録されちゃったなあ。
死んだ父親の魂が1歳の息子に憑依して様々な事件を解決する、という、ちょっとない設定が楽しいSFミステリー。
普通、シチュエーションコメディのように、ある設定に基づいて展開されるシリーズというのは、話を量産するために(もっと意地悪な言い方をすれば、作者が楽をするために)「受け口」を広くして作られるものである。例えば、不幸を背負いこむ運命の少年が主人公であれば、さこに次々と宇宙人やら妖怪やら悪魔やらが現れるのは自然であるとか。「七つのタマを集めれば願いがかなう」という設定さえあれば、あとは様々なキャラに争奪戦をやらせればいいだけの話である。その設定さえあれば、あとは何をもってきたって話は出来あがる、というのが基本パターンなのである。
けれど、このマンガの場合、主役は赤ん坊である。初め私は、赤ん坊の行動範囲なんて、たかが知れてるから、シリーズを続けるのはちょっと厳しいんじゃないか、と勝手に思っていたのだ。ところがどっこい、とんでもない。
殺人事件、財産探し、誘拐、グルメもの、育児ものなど、遭遇する事件もバラエティに富んでいるが、毎回のゲストも実に多彩、産業スパイや大金持ちの隠し子、国際的犯罪者などはまだまだ普通、長命人、妖精、エンマ様や神様の使い、葛飾北斎まで出てくるんだから何が何だか。
そして一歩間違えればふざけた駄法螺話に陥る寸前でちゃんと「SF」してるのが岡崎さんの才能の表れだろう。オビの「小松左京絶賛!!」の惹句はフカシじゃないんである。残念ながら新作の収録はなかったが(未収録短編はシリーズ外のもの)、これはもうSFファンならまさに必読、子々孫々まで読み継がれるべき傑作中の傑作なのである。
09月24日(火)
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