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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■復讐正露丸/『快傑ズバット』第一話/『芥川龍之介 妖怪文学館』/『秘宝耳』(ナンシー関)
 唐沢俊一さんのWeb現代『裏モノ見聞録』番外編に、品田冬樹さんが、戦前の瀬尾光世(男性ですよ)のアニメ『くもとちゅうりっぷ』に登場するてんとう虫ちゃんのフィギュアを制作したとの記事。
 『くも』は、戦前の日本のアニメ技術がディズニーにひけを取るものではなかつたことを示す好例だけれど、特にこのてんとう虫のキャラの可憐さと色気を同時に体現した滑らかなフォルムと動きは、未だに誰もまねできない高みを築き上げている。
 そんな最高のキャラクターをフィギュア化しようってんだから、こりゃちょっと無謀な試みではある。実際、写真を見る限りでは、出来はやはりイマイチと言わざるを得ない。品田さんご本人が、「ノスタルジーでやるというのではなく、今の子どもが違和感なく遊べるように、少し顔などは現代風にしました。」と仰ってるが、そんな改変をするなら初めから作る意味がないのである。出来上がったものはごく普通の、キューピーかペコちゃんもどきの人形。買う人どれだけいるのかなあ。


 昨日から、CSファミリー劇場で、『快傑ズバット』が放送されている。録画しといたのをしげと二人で見た。しげもこれを見たくて見たくて見たくて見たくてたまらなかったのだ。なんだか一緒に同じドラマを見るのって久しぶりだなあ。
 本放送時は、東京ローカル(12チャンだよ)だったせいで、福岡じゃ一度も見られなかったのだが、ようやく見られた。全く、長生きはするものである。
 しかし凄いね(@。@;)。オープニングからトバしまくりっつーか、なんで私立探偵がセスナに乗って飛んで来て、しかも降りてきたらギター抱えたカウボーイスタイルで投げキッスにウインクするんだよ。聞きしに勝るというのはまさしくこのこと。宮内洋氏が自ら代表作と言うのも分るよ。長坂秀佳のどうしようもないバカ脚本を、ここまでヒロイックに演じ切れているのはまさしく宮内洋あってこそだろう。
 いや、脚本がヒドイってのは、結局ズバットのやってることって、悪人相手とは言え、リンチで犯罪だからな。『必殺』シリーズみたいな闇の稼業ならともかく、堂々と警察が後ろ盾についてるってのはマズイっしょ(^_^;)。『仮面ライダー』だって、一応は密かに戦ってたって設定だったのに(後半どーでもよくなってったけどな)。
 でも、見てる間それが気にならないのは、やっぱりヒーローが宮内洋だから(^o^)。うん、宮内洋なら何をやっても許せる。飛んでるピストルの弾丸に更に弾丸を当てる、なんて芸当が宮内洋と片岡千恵蔵以外の誰にできると言うのか。親友の死に夕日に向かって泣きながら歌を歌おうが、誰もいない草原でポーズ決めてようが、「正義のシーロー」ってセリフがナマってようが、宮内洋ならオッケーである。
 これは全話録画しそこなわないようにしないとなあ。


 東雅夫編『伝奇ノ匣3 芥川龍之介 妖怪文学館』(学研M文庫・1575円)。
 巻頭に芥川自筆の妖怪画帖も付いてて、彼の怪奇文学を概観するにはお得な一冊。
 と言っても、国語の教科書で『羅生門』しか読んだことのない人には、芥川が怪奇文学に興味を示し、相当数の実作をものしていたことは意外に思えるかも。
 まあ、コッチコチのブンガク馬鹿じゃなくて、実際に芥川の作品に触れてる人なら、芥川が怪奇・ホラー小説もユーモア小説もものしていた(というより自らの創作の主としていた)エンタテインメント作家だってこと、分ると思うんだけどな。
 ウソじゃないぞ、『羅生門』だって本人がちゃんと「明るい小説を書いた」って述懐してるのに、後世の評論家が勝手にエゴイズムだのなんだのとコリクツこねてブンガクに仕立て上げちゃったんだから。


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08月02日(金)
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