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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■しげ、肉離れ?/『けろけろ 緑の誓い』(矢島さら)/『風雲児たち 幕末編』1巻(みなもと太郎)ほか
崩れた崖を見ても、個人にわかることは、それがかつては崩れていなかったであろうという「憶測」でしかない。そして、彼がまたこの地に来るとは限らない。別人が再びこの地を訪れても、そこにはもう一つの繋がりのない「憶測」が生まれるだけである。
そこにあるものの意味を知る者は、かつてそこに来たものの意志を継ぐ者でなければ決して把握はできないのだ。奈緒さんはまだ、道を辿り始めたばかりだ。私は受け継がれる「血」というものをあまり信じないほうだが、もし「血」に意味があるとしたら、そういうことなのではないかと思う。
矢島さら『けろけろ 緑の誓い』(徳間デュアル文庫・620円)。
うーんと、なんつーか、かわいいはなしですねー(^_^;)。
言っちゃなんだが、中学生のかえる好きの女の子が、初めてお話作ってみました、みたいな。……かわいいだけならともかく、話そのものが稚拙なのはどうも頂けない。
はるか太古に地球に移住した宇宙人が、地球環境に適応するために変身したのが「かえる」族であるという設定は……どうなんでしょうねえ。私、かえる食ったこともありますが、それって、イケナイことだったんでしょうか。
かえるの長老が「それが少年たちの成長過程に必要な遊びなら、ワシら喜んでケツに爆竹刺されて死んだもんなあ」なんて言っちゃうけど、いいんですか、そんなんで。命を大事にする感覚がかえる族には欠落しているのでしょうか。
そのわりに、地球環境の悪化を促す農薬の開発を阻止するために、かえるたちが今こそ立ちあがるって……そんなのが自分たちの素性を明かす理由なら、もっと昔から地球人たちに対して訴えかけてたんじゃないですか。これまでの人間たちの歴史を振り返って見て、安心して見てられる時代がちょっとでもありましたか? 環境保全とかシリアスなテーマを持ちこむなら、もうちょっとそのテーマについて研究しておかないと不勉強って言われちゃうと思うんですが。
読者として想定してるのはは子供なのかな? いや、子供向けの小説だからこそ、子供だましのもの書いちゃいけないと思うんだけどね、プロなら。
マンガ、みなもと太郎『風雲児たち 幕末編』1巻(リイド社・550円)。
オビの惹句がなぜか富野由悠季。
「風雲児たらんと欲する者はこれを読め!! 目を覚ませ!!」ですか。アツイなあ。けれど、ふと気づいたけれど、富野さんが『風雲児たち』テレビアニメ化したら面白いものできるんじゃないか。作家性が強くて、オリジナルしか作れないように思われているけれど、もともと富野さんは絵コンテ千本切りを自ら課した職人演出家でもあったのである。みなもとさんの歴史観と、富野さんの歴史観がぶつかって昇華されたら相当面白いものができるんじゃないかと思うが。
さて、再開した幕末編、『雲竜奔馬』をなぞりつつ、新展開も組み込んでいく構成。カラーページ付けるならおイネもカラーにしてほしかったけれど、ホント、かわいく描いてあるなあ。実物のおイネの写真見るとガックリくると思うけど(おタケさんもおイネもトシとってからの写真しか残ってないからしかたないけどさ)。
しかし、阿部正弘の活躍する1巻の流れだけを見ていると、これでなぜ幕府が倒れてしまったのか、理解しがたいね。この人が急死しなければ、そして井伊直弼があせりさえしなければ、幕末の様相は全く変わってたんじゃないか……というのも歴史のIFだね。
マンガ、CLAMP『ちょびっツ』6巻(講談社・530円)。
初回限定版が見当たらなかったので、通常版を購入。特典、何だったのかなあ。
裕美ちゃんと店長さんの過去の話が語られるけれど、直接ちぃと秀樹の関係に絡む話ではなかったみたいだな。6巻かかってなかなか話が進んでいかないのがもどかしいけれども、アニメのほうはもう原作に追いついてるんじゃないかなあ。福岡じゃ放送してないからわかんないけど。
07月31日(水)
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