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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■憑かれた女/『新宿少年探偵団』(太田忠司・こやま基夫)ほか
 けどね〜、いくら聞きなれてるからってね〜、勤務中、夜7時から朝3時まで8時間、ぴんでんさんを聞きっぱなしって、それはさすがに拷問ではないのか(ぴんでんさんゴメン)。
 それは「疲れている」のではなくて「憑かれている」のだ(^_^;)。
 仕事から帰って、昼間はゆっくり寝ているはずなのだが、いくら寝ても疲れが取れないって、そりゃエンドレスで聞いてりゃ神経はボロボロになるって。自分で止めろよ、しげ。
 ハンドルを握りながら、「ホラ、これ以上腕が上がらない」とボヤいている。ちゃんと運転できるのかよ、と心配になる。
 「何か重いものでも持ったのか?」
 「そうじゃなくて、ともかくキツイと!」
 そりゃ、運動不足でカラダが鈍ってるからなんじゃないのか、と思いながら、ふと、今朝の「黒いもの」のことを思い出す。
 「お前さあ、今朝何時に帰ってきた?」
 「3時くらいかな?」
 「そのとき、俺の上に乗った?」
 「うん」
 「なんで乗るんだよ!」
 「疲れてたから」
 「オレが重いだろ!」
 「あんたをまたいで行こうと思ったんだよ。けれど疲れててまたいで行けなくて乗っちゃったんだよ」
 言っちゃあなんだが、私はマジで呼吸が止まりそうになったのである。
 もちっと年寄りだったら血管がぶち切れてたかもしれないのである。
 それほどにしげの体重は重い。とことん重い。言い訳が利く状況ではないのだ。
 これは何らかの形でし返しをしてやらねばなるまい。
 とりあえずは「怖い話」をいろいろし込んでおくことにしよう。しげが油断したときに何の気なしに止める間もなくサラッと言ってやるのである。
 「あ、そこの曲がり角だけどね……」


 「めしや丼」ではチキン南蛮と焼肉定食、それに期間限定のそうめん。二人揃って全く同じメニュー。
 庶民はとかくこの「期間限定」というやつに弱い。考えてみればたかがそうめんである。スーパーで買って自分ちで作ったほうが安上がりだし、味も調整できるし、量も自由自在ということは解りきってるのだが、「今ここでしか食べられない」となると、なぜか引っかかってしまうのである。
 もっとも、実は引っかかってるのはしげだけで、私ではない。
 私は別にそうめんなんか食わなくてもよかったのだが、しげ一人が宣伝文句に踊らされてバカになってるのは余りにかわいそうなので、私も付き合って同じものを注文してあげているのである。
 実を言うと、私が糖尿にもかかわらずしげと同じ量か、少し多めに食事を取ってしまうのも実はしげに対する心遣いである。しげが私より余計に食べると、自分が大食いだということを自覚しなければならなくなる。しかし食べたい、でも食べたら太る、どうしたらいいのか、そんなしげの心の葛藤を軽減してあげるために私はひと品ふた品余計に食べてあげているのだ。
 これこそまさしくしげへの「愛」にほかならないと思うのだが、しげはなかなか気づかないし、気づいてもなぜか喜ばない。なんでかなあ。
 実際、しげって贅沢っつーか愛に貪欲っつーか、なんだか夢物語みたいな愛を求めてるらしいんだが、そんなもん、成就するわけないじゃん。
 まず、目の前の現実を見て、部屋片付けろよな。


 DVD『必殺必中仕事屋稼業』4・5話。
 第4話「逆転勝負」のゲストは故・菊容子。これだけでもこのDVDを買っただけの価値はあろうってもんだ。清楚にして妖艶。この人くらい、女性の陰と陽を同時に表現しえた女優さんというのもそう滅多にはいない。ほかに思いつくのは後の故・夏目雅子くらい……ってどうして私はこう早世した女優にばかり入れこんじゃうかな。
 思えば『好き! 好き!! 魔女先生』で星ヒカル先生に憧れていた小学生の私は、多分そこまで敏感に感じ取ってファンになっていたと思う(ホントかよ)。
 昼は処女の如く夜は娼婦の如くというのが男の理想らしいが(相当勝手だけどな)、菊さんはそれを見事に演じていた人だった。菊さんの不幸はそこにあったようにも思う。バカバカしい話だが、演技上の姿を現実の人となりと錯覚するのーたりんは時代を経てもなお一定の割合で存在しているのである。

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07月10日(水)
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