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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■能古島紀行/『ワイド版 風雲児たち』1・2巻(みなもと太郎)
 「でも他にめぼしいとこないぞ。あとは壇一雄の旧宅くらいだし」
 「金印公園は?」
 「そりゃ、志賀島!」
 博多以外の人にはよくわからんだろうが、「漢委奴國王」の金印が発見されたのが志賀島の田んぼの中ってことになってるのね。
 しげ、不承不承アイランドパーク行きを納得する。

 島の北端にあると言ってもバスで10分も掛かる距離ではない。博多湾内で結構な面積を締めているように見えるが、実際に上陸してみると能古島はそんなに大きな島ではないように感じる。
 自転車を借りて、ぐるぐる回ることも考えたが、坂道があったらくたびれそうなのでやめた。
 バスに一緒に乗りこんだのはおばちゃんたちが数名だけ。観光バス組はいったいどこへ行ったのか、他に見るところって、コーヒー園とか壇一雄の旧宅くらいしかないみたいなんだけど。
 ちょうどアイランドパークに着いたころから小雨がぱらつき出す。
 幸い、雨宿りするほどではないので涼しいくらい。
 太鼓橋があったので、しげが渡りたがる。マップを見るとその先には何もないようなので、行っても仕方がないような気がしたが、行かなきゃ行かないで未練がましいことをぐちぐちと言い出すに決まっているので、仕方なく付き合う。
 案の定、花壇のほかには何もない。花を眺める気分ならそれでも楽しいのだろうが、雨降りだとなあ。しげも退屈したのか、もとのコースに戻る。

 海岸まで行くとレストランなどもあるようなので、そちらに向かうが、途中にウサギ小屋とヤギ小屋と鶏小屋があった。
 前にも書いたが、私は動物にエサをやるのが三度のメシより好きだ。本気で大好きだ。
 しげは「何でそこまで」と言うが、もちろんエサに飛びついてくるときの動物の動作が可愛いからに決まっている。あんたね、あのね、ウサギがエサのニオイ嗅いでさ、ふんふんふんふんふんふんふんやってるときの可愛さったらないよ。ああいうの見てると、「ふふふ、この愚かな畜生めけだものめ玩弄物め、ありがたくこのエサを押しいただくがいいわ、ふはははは」って、抑圧されたストレスが開放されるような気になりませんか。私はなります。

 ウサギ小屋のエサはパンの耳とチーズの短冊。コヤの中の棚に、駕籠がズラリと並べてあって、ハコに100円入れて自由に取って行く形式。
 ちょうどアベックが来て金網の柵越しにエサをやっていて、もう何10匹ものウサギが大小取り混ぜてエサに群がっている。
 「あ〜ん、小さいのが食べきらん」とか女がブリブリ言ってるので、チビなやつにエサをやろうとしてもデカイのに取られて食べさせられないでいるのだろう。ふっ、まだまだシロウトだ。
 アベックからやや離れたところに陣取ると、「撒き餌」をして、ウサギを集める。当然ちびすけは乗り遅れたりはみ出たりして、群れからはぐれる。そこにエサを落とす。ちびすけは首尾よくエサが食べられるというスンポー(c.尾田栄一郎)だ。
 でも、せっかくやったパンの耳、ちびすけが食べてる最中にでかいのが来て横取りして行く。……これだからいつまで経ってもチビなのかもな。けどデブウサギの隙を見つつ、ほぼちびすけたちにエサをやり終わって、今度はヤギ小屋へ。
 ヤギのエサはもなかの中に小さな塊。ビーフジャーキーの類か。
 扉があって「自由にお入りください」とあるけれど、油断したら、ヤギが外に出ちゃうじゃん。これも柵の外からエサをやるが、やる前から猛然と10匹くらいが扉のところに群れてくる。しげは怖がって近寄ろうとしない。ウサギのときには結構時間がかかったが、掌にエサを置いて差し出すと、あっという間に食い尽くされる。なんか、やりがいがないぞ。
 次に鶏小屋に行くが、これは高台の上からエサを投げ下ろす形式。鶏がやはり一番危険だからだろうな。奥の方にイケがあって、そこに鴨もいるが、パンの耳は軽いので、うまく投げないと届かない。しげにエサを渡すと、うまい具合に投げて、水面に落ちたパンを食べている。こういうときだけ妙に器用なんだよな、しげは。
 今一つ消化不良なので、もう一度ウサギ小屋に寄って、エサをやる(しつこい)。

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06月29日(土)
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