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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■悪態つくのは照れ隠し/『おしのび倶楽部』(横山えいじ)ほか
 しげ、父に喜んでもらえたかどうかをやたら気にするが、よっぽどひどいところでない限り、怒ったりはしないものだ。やたら愚痴を言うのは、ウチの血なんでしかたがない。アレで実は喜んでるのよ、オヤジは。
 腹蔵があるわけではないので、聞き流してりゃいいだけなんだけどね。


 アニメ『サイボーグ009』第34話「ファラオウィルス」。
 一応原作にあるエピソードなんだけれど、より003がフィーチャーされているストーリーになっている。ブラックゴーストはまだ復活していないので、ウィルス培養の真犯人は企業の陰謀という形に変更。原作ではブラックゴーストが単なる死の商人ではないことを示すエピソードの一つだったので、この変更はちょっと惜しい。敵のボスキャラも、石森さんの別の短編からの流用。
 オリジナルな味付けをするのを否定するつもりはないけれど、たいした能力のない003が一人で飛び出していく動機付けが今一つ弱い。脚本も少し疲れてきてるんじゃないか。そろそろ短編シリーズは一区切りして、長編シリーズに入ってほしいんだけどなあ。


 マンガ、横山えいじ『おしのび倶楽部』(秋田書店・897円)。
 出版されたのは昭和60年、おいおい、もう17年も前かよ(-_-;)。
 ずっと買い損なっていたこの本、単行本リストには載っていたので、欲しくてたまらなかったのだが、横山えいじの本が再刊されることなどありえようか(断定しちゃいかんが、実際、二刷されてたのなんて見たことないぞ)。
 吾妻ひでおの遺髪を継ぐ(まだ死んでないって)のはとり・みきと横山えいじだと、私は常々主張していて、衆目も一致するところだろうが、悲しいことに、その「衆」に会ったことがない。え、えすえふまがじんに連載までしていたというのに、ど〜して横山えいじの知名度はこんなに低いのだ。
 だから、ジュンク堂でこの本を見つけた時にはマジで狂喜した。初版だったのでちょっと泣きたくなったが。
 人の変身願望を満たすための秘密の地下組織・「おしのび倶楽部」。虐待願望を持つ女子高生・佐渡密子、説教魔のヤクザ、二宮金次、水戸黄門願望の「おやじ」、そしてムリヤリ仲間に引き入れられたヒーローマニアの浪人生、中野大作。四人は人の迷惑顧みず、自らの願望を満たすためとちょっだけ世の中の平和を守るために、もっぱら夜ばっかり戦い続けているのだ!……何と?
 マニアックなSFギャグが炸裂する『マンスリー・プラネット』や『ルンナ姫放浪記』と違って、キッチリとシチュエーションコメディをやってる本作は、近作のファンにはチト物足りなく感じるかもしれないが、やはりSFオタクな味わいは「さりげなく」散りばめられている。恐らく連載当時は、マニア嫌いな編集部と横山さんとの間で丁々発止の戦いが繰り広げていただろうことは想像に難くない。そんな作者の苦労を思うと、涙を禁じえない。
 『七色仮面』も『鉄人28号』も『まぼろし探偵』も、今時の若い子はじぇんじぇん知らないからな〜。
 え? それはSFじゃなくて、ただの「なつかし番組」だろうって?
 その偏狭な発想がSFをマニアでオタクな範疇に閉じこめちゃってるんだよ。「ガンダムはSFじゃない」とか「ゴジラはSFじゃない」なんてタワゴトこきゃあがるスットコドッコイは、エセハードSFファンと野原ひろしだけでたくさんだ。


 『アニメージュ』(徳間書店)7月号、富野由悠季の新作、『オーバーマン キングゲイナー』にタイアップして、「ニュータイプ人生相談 富野に訊け!」といういささか熱過ぎる連載が始まっている。
 山本弘さんのSF秘密基地の掲示板で、富野さんがまたトンデモなことを言ってる、とかなんとか書き込みがあったので、そんなにヒドいこと言ってるのかと思って読んでみたが、別に全然トンデモじゃなかった。

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06月16日(日)
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