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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■大宰府の赤い橋/DVD『幕末未来人』1〜3/DVD『ピンクレディ&ジェフ』
 数少ない読者のみな様がた、休日はいかがお過ごしでしょうか。
 私の休日の過ごし方は基本的には決まっています。
 寝ることです。カラダを休めることです。だから「休」日と言うのです。
 違いますか違いますか違いますか?
 でも、しげの考え方は違うのです。
 休日は夫婦でやたらべたべたいちゃいちゃらぶらぶする日だと言うのです。
 そんな理不尽かつ非道な行為をしていいものなのでしょうか。
 私も経験がありますが、他人の日記を覗いてみて、「今日は、彼と初めてのデート。ホントは私の手を握りたいくせに、ちょっと偶然指先が触れただけで、あわてて真っ赤になって、飛びのいちゃうの。ウブなんだからぁ。うふっ」なんて記述があったりしたら、握りっ屁カマしたくなります(まあ、こんな古臭い文章マジで書くヤツもそうそういませんが)。
 妻帯者である私ですら、そう思うのです。
 ましてや、毎夜サビシイひとり寝をかこち、火照るカラダを抑えながら悶々と○○○○○○○○○過ごしているチョンガーのヒトが(いえ、アナタのことではありません。ありませんったら)、「バカだなあ、オマエって」「いやーん、アナタこそ(はあと)」みたいなクソタワケな会話を聞いたり読んだりした日には、いったいどんな気持ちになることでしょうか。
 殺意を抱いても仕方がないのではないでしょうか。
 ですから、私は、これまで極力、しげとはらぶな関係になるまいと努力してきました。
 一所懸命、しげを罵倒し虐げ、暴力亭主を演じて来ました。
 それも全て、「ほーら、私たちは仲良くなんかないんだよ、だからジェラシって私たちを付け狙ったりストーカーったりしないでね」というささやかな意志表示であったのです。
 なのに、なのにです。
 今日、しげが突然、感極まったように「どこかに出かけたい!」などと言いだしたのです。
 「どこかって映画?」
 「映画とかそう言うんじゃなくてどこか!」
 つまりしげにとって「映画に行く」はデートではないということらしいのです。「もっとらぶなデートがしたい」、そんなオソロシイことを言いだしたのです。
 そう言えば、最近しげはストレスが溜まっていたようでした。なんだか落ちつかなくって、急に泣きだしたこともありました。
 「どうして私たちは夫婦なのにらぶじゃないの?」
 そんなことをしばしば口にしていました。
 いまやしげの目は、イモリの黒焼きを盛られた大奥の女のように(なんちゅータトエじゃ)ランランと輝き、その瞳の奥で情欲の炎を燃やしています。
 ここで逆らったら、チョンガーのストーカーに殺される前に、しげに私が殺されてしまいます。
 仕方がありません。
 今日は、「デート」をします。しなければならなくなってしまいました。道を歩きながら手なんかも握っちゃうのです。けれど、それは私の本意ではありません。
 お願いですから、ストーカーのみなさん(←断定するなよ)、狙うなら私ではなくしげだけにしてください(←外道)。

 「で、どこに行きたい?」
 「太宰府!」
 福岡・博多の人間が「太宰府」と言えば、それは即、「太宰府天満宮」のことを指す。
 みなさん、ご存知だろうか。博多人には有名なフォークロアが太宰府にはあることを。
 天満宮の祭神は、言わずと知れた学問の神様・菅原道真である。
 同時に道真は、平安京最大の怨霊でもある。藤原氏の策略で大宰府に左遷され不遇のうちに死んだ道真は、死後、次々と天変地異や疫病を起こし、藤原一族に祟りをなしたと言う(事実、そのころ藤原四家がバタバタと連続して死んでいる)。もともと天満宮は、怨霊道真を鎮魂する意図で建立されたものだ。夢枕獏の『陰陽師』のおかげで、そのことも随分有名になった。
 しかし、それで道真公のウラミが消えたわけではない。
 天満宮に向かう赤い太鼓橋。
 あれをカップルが手をつないでわたると、呪いがかかるのである。
 笑うんじゃないぞ、そこ。
 武田鉄矢は、若いころその伝説を知らなかった。ために、彼女ができるたびに天満宮に参っていたのだが、呪いは確実に武田鉄矢の身を襲っていたのである。

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06月15日(土)
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