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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■日常ってつまんない?/『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』1巻(安彦良和)/『ヒカルの碁』17巻(ほったゆみ・小畑健)ほか
けれど確かに『ガンダム』から『サクラ』へ転ぶという行為については、コアなアニメオタクとしては許せないものがあるのも分らないではない。『ガンダム』にドラマはあるが、『サクラ』にはご都合主義しかない。『ガンダム』にキャラクターはいるが、『サクラ』にはデザインしかない。こりゃしげならずとも、転ぶにしてももう少し相手を選べなかったのかって言いたくなるよなあ。
「まあ、確かに……『サクラ』はねえ。けど、AIQのみなさんはあくまで『ガンダム』ネタで笑ってるんで、『サクラ』のことはよく知らないんじゃないか」
そう言ってて実はAIQに『サクラ』のファンの方がいらっしゃったらどうしよう(^_^;)。
マンガ、矢立肇・富野由悠季原案・安彦良和漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN ―始動編―』1巻(角川書店・588円)。
もう『ガンダムエース』の方で一回読んじゃってるので、いちいち単行本買わなくてもいいような気もするが、やっぱりそれはそれ、これはこれである。
表紙のカバーも描き下ろしだし。
安彦さんのコメント、「『ガンダム』というのは、こういう物語です」という短いセリフに万感の思いを感じるのは、やはり何だかんだ言いながら、私がファーストガンダム世代だってことなんだろうなあ。
だいたい、あのころ高校生だった我々は、好むと好まざるとに関わらず否応なしに「『ガンダム』はSFや否や」、「『ガンダム』は戦争アニメか反戦アニメか」みたいな論争に巻き込まれていったのである。
お若い人々にはピンと来ないだろうが、「どーだっていいやん、そんなこと」などと言える雰囲気ではなかったのだ。ある意味、後の『エヴァ』論争よりも熱かったと言っても過言ではない。
そんな中で私は終始、「SFは手法であって、ジャンルではない、したがって『ガンダム』がSFであるか否かはその問い自体が無意味である」、「戦争を描いている作品について、肯定的な意味と否定的な意味の両方の受け取られ方が生まれるのは、それだけその作品が『リアル』である証拠である。従って、『ガンダム』が戦争を肯定しているか否かという視点ではなく、リアルかそうでないか、という視点で見るべきである」と語っていた。
もちろんこれは遠回しに仲間を「オマエらはバカだ」と言っているわけで、当時から私が、マスコミやムーブメントに乗せられやすい連中を軽蔑していたことがよく分る。ところがこんな見え透いた詭弁に簡単に乗せられる友人も結構いて、ウンウン頷いたりしてたんだから、みんな本当に熱に浮かされていたのだ。
もちろん友達もいつまでもバカではないので、私からバカにされていると気付いた時点で口を利かなくなった。おかげで私の友人は今、ホントに少ない(-_-;)。
けれど、私は実のところ本気でハラを立てていたのだ。
それまでアニメや特撮をバカにしていた連中が、いきなり『ヤマト』『ガンダム』と浮かれ出した様子に。
それまでアニメーションという言葉すら知らなかった連中が、「マンガ映画」あるいは「動画」という言葉を簡単に捨てていったことに(当たり前だがアニメブーム以前に「アニメーション」という言葉はアニメファンの間では普通に使われていた)。
ここで、きっちり言っておかねばならないと思うが、半可通なアニメファンが、よく「『ヤマト』『ガンダム』によって、日本のテレビアニメに大人の鑑賞に耐えるSF作品が生まれた」とか言ってるが、そんなことは大ウソである。
創世記のテレビアニメがほとんどSF作品だったことを忘れちゃいないか。正確には「世間に対してSFアニメをオトナが見てもいいと認知させた」という点において『ヤマト』や『ガンダム』には価値があるんであって、だからそれ以前にロクなSFアニメがなかったなんてのは勘違いも甚だしいのである。
だったらどうして今でも『鉄腕アトム』や『サイボーグ009』がリメイクされるのだ。『鉄腕アトム』で描かれた未来、意外と当たってるぞ(21世紀になつても未だに学生はツメエリ着てるし。それは違うか)。
……『ガンダム』の感想じゃなくなっちゃったけど、一回読んだやつだから話が本編から外れるのもご勘弁ね。
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06月04日(火)
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