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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ピンクの象は出て来ません/『ホーリーブラウニー』1巻(六道神士)ほか
 ソルボンヌK子さんプロデュース&ツッコミの貸本マンガ復刻シリーズの第一冊。シリーズタイトルの「UA!」って、「ユーエー」と発音するんじゃなくて、「ウアッ!」って叫び声だったんだね。好美のぼるさん、男にも女にもこんな叫び声を上げさせてるんである。
 何度か好美作品もこの日記で取り上げてはいるんで、そのキッカイぶりは今更説明するまでもなかろうが、これはまた一頭地を抜いている。抜いてるというか、抜き過ぎて昇天しているというか(^_^;)。ともかくもスゴイ。とてつもなくヘンなのだ。タイトル故に、これを一般書籍として売ることは到底不可能だろう。けれど、これが世間一般の人の目に触れないとは実に惜しい。読んでぜひとも驚嘆し激笑し、「ポカー」としてほしいのに(^o^)。
 天神の福家書店でも、『うわっその子きれい殺す」とか、ほかの『UA!』シリーズは取り扱ってたけれど、さすがにこれだけは並べてなかった。……さもありなん。これはチト過激すぎるものねえ。

 妊娠中の母親がサリドマイド錠を飲んでいることを知って、それを取り上げる娘の博子……という展開と、タイトルの『奇形児』から、読者の誰もが一瞬、「ああ、この母親はサリドマイド児を生むのだな」と思うだろう。
 もしかしたらこれは「スリラー」に名を借りて、公害を告発する意図で書かれた物語か? と予想する向きもあろう。
 ところがこの前振り、本編の展開と何の関係もないのである!(°θ°;) ナニー!?
 確かにあとで奇形児は生まれるのだが、まず「変貌」を来たすのは姉の博子。突然、右手が縮み始めるのだ。次には左手、右足、左足……最後に彼女は江戸川乱歩の『一寸法師』のような姿に……(モトネタはその辺だろうな)。
 いや、何がスゴイって、その変貌が「怖くない」だけならまだしも、その展開の合間にやたらポエムが差し挟まれてさあ(^o^)。
 「どんな 美しい洋服を 着ても どんなにお金が あっても この右腕は もとへは もどらないのよ あたしの これからは 何うなるの…」
 少なくともこんなポエム作ってられる状況じゃないと思うんだが(^_^;)。
 「やがて左足も ちじんで行くだろう それでいいのよ みんなちじむと いいのよ 義手も 義足も いらないわ あたしはあたしの このままの姿を 見つめていたいの」
 なんだかメロディーつけてあげたくなりますなあ(^o^)。
 ともかく、だんだんヤケになっていく博子のトッピな行動がナントモ。
 「両腕がなかったらホントによく回るわ!」とか言っていきなり踊りだしたはいいものの(何がいいものなのか)、見事にコケて「起きられない!」とか言ってるし。これは悲しいシーンなのか笑うシーンなのか。判断に迷うというか判断すること自体を拒否されてるような。
 で、ついに気が狂って、キャバレーの見世物になってしまう博子。……って、いくらなんでもアンマリな展開じゃありません? フリークスは見世物に、というのはもしかしたら、トッド・ブラウニングの『フリークス』にあやかっているのかも。だとしたら好美さん、ご自分の尊敬する先行作品を、キチンと踏襲しようとマジメに考えていたのかな……。なわけないよな(^o^)。
 で、肝心の赤ちゃんはどうなったか。
 誰もが予想するとおり、博子と逆に、「手長足長」の姿で生まれて来たのでありました。どこぞの妖怪画を見て発想したのかもね、この物語。
 さて、この奇形児二人の織り成すドラマの結末やいかに! ……って、え?(・・;)
 あー、これから先は、何とかしてこの本を手に入れて、ご自分の眼で確かめてみてくださいね。
 同時収録の旭丘光夫の『火葬』も、相当トンデモです。


 マンガ、六道神士『Holy Brownie ホーリーブラウニー』1巻(少年画報社/YKコミックス・520円)。
 妖精の種類は数あれど、ブラウニーは最も有名なものの一つだろう。
 キャサリン・ブリッグズの『妖精 Who's Who』によれば、ブラウニーはホッブゴブリンの一種とか。無骨で毛深い小人だけれど、ほんの少しの報酬で、喜んで働く。けれど、その姿を見られることを絶対に許さない。人間がそのルールを破ると、かえって不幸が訪れる。

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05月08日(水)
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