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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ヘンなメール/『百鬼夜行抄』9巻(今市子)/『空前絶後のオタク座談会A ナカヨシ』(岡田斗司夫・山本弘)ほか
作画も安定していて、ようやく安心して見られる話になったかなあ、という感じ。
……やっぱり、今回のシリーズ、スタッフの層が薄いんだろうなあ、脚本を含めて、出来のいい回とショボイ回の差が激しすぎるもの。
黒い幽霊団との新たな戦いに移る前に、サイボーグたちの生活の拠点を作っておこうってことなんだろうが、原作とは微妙に設定が違ってるな。
つーか、009、エピソードによって、レーサーだったりギルモア博士の研究所の助手だったり、立場が違うんで、まあ、どれかに統一する必要はあったんだろうけど。
一緒に生活していた仲間が、張々湖の料理で実は繋がっていた、という設定が秀逸。
特に、戦後も残る地雷のせいで、村に届けるはずだった食料を一気になくしてしまったピュンマが、張々湖に鍛えられたことを思い出して小麦粉だけで料理を作るエピソードは、ほんのわずかな時間に『009』のテーマが凝縮されたかのような名創作。
「料理」はまさしく生活の根源であり、我々の日常を築き上げる原動力となるものだ。その「日常の力」こそが、たとえ戦地であっても平和を取り戻していく唯一の力となりうるのだと、訴えているようではないか。
で、唯一、張々湖から料理を習わなかったジェットだけがワリを食う、というオチも粋だ。
まあ、料理は国境を超えて絆を作る、みたいな『美味しんぼ』的な話になっちゃってはいたけどね。
……これも、原作からは「張々湖が高名な料理評論家を迎えるために、食材を009たちに集めてもらう」ってとこしか使ってないから、脚色の妙ってとこだろうね。フランソワーズのチャイナドレス姿は原作よりも数段グラマーなプロポーションで、GOOD(^^*)。009もさりげなく(でもないか)誉めるあたり、意外とタラシだよな。そのワザも教会で覚えたのか。
……え? なんで009だけ名前で書かずにナンバーで呼んでるのかって?
ジェラシってるからに決まってるだろう!
しかし、どうもこの秀作の快進撃も今週までのようだ。
来週放映予定だった『まぼろしの犬編』が急遽『ディノニクス編』に差し換え。しかも予告編の作画、また全然動いてない。
……また、落としたのかよ(-_-;)。
マンガ、今市子『百鬼夜行抄』9巻(朝日ソノラマ・800円)。
……最近、買ってる本の「妖怪」率、高くなってる気がするな。
1巻買った時にはまさかこんなに続くとは思ってなかったけど、もしかしたらホントに百話行くんじゃないか。
となると今ちょうど折り返し点、というところかな。
主役の飯島律、7巻で大学生になったから、18巻まで行けばどうしても社会人にならざるを得ないけど、『返礼』の回で、1年ほど妖魔にとり憑かれた時期があった、と紹介されているから、その間の「書かれざる物語」を書いて行けば、結構それくらいは持つんじゃないかな。
しかし、9巻も重ねているというのに、語り口のウマさにますます磨きがかかってるってのには仰天する。そんじょそこらのミステリ作家よりよっぽどミスディレクションがうまい。
それでもミステリファンのハシクレとして、「これはここでこう引っ掛けてるな」と作者のワナに気づいて真相に辿りつくことも多いのだが、今さんヘタすりゃ二重三重の引っ掛けを用意してるからねえ。
『笑う杯』に出てくる「大奥様」と呼ばれる謎の老婆、こいつが幽霊か妖怪の類だろうってことはすぐにわかる。作中に「年とった家政婦さんがいる」とかいうセリフが出てくるから、一瞬、その人のことかとも思ってしまう。家政婦と見せかけて実は……というパターンかなと。
ところがさりげなく「自殺した最初の奥さん」とか書いてあるものだから、あ、さてはこの人の幽霊だな、「家政婦」は引っ掛けだな……と思ったら更にそれも引っ掛けなんだもの。
いや、ほかにも『隣人を見るなかれ』なんか叙述のトリックとしても傑作。別にミステリマンガじゃないのに、どうしてそこいらのミステリマンガより数段優れたトリック使いまくってんだよ。
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02月17日(日)
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