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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■夫でも義理チョコ。……夫だから?/アニメ『七人のナナ』第6話/『金田一耕助の帰還』(横溝正史)ほか
 なんとそれは、ナナのことを励ましている内容だった。もしかして「Y・K」って、「優一・神近」?
 嬉しさのあまり、ナナは番組に「Y・K」くんへの感謝の返事を送るが、623がついうっかり「鈴木ナ……」と本名を呼んでしまったために、深夜ラジオを聞いていることが教頭先生に知られてしまい……。

 後半、ナナが「受験生はみんな同じ思いをしながらがんばってるんだ」と切々と語るシーン、今川監督としては感動的なものにしたかったのかもしれないけれど、 残念ながら「泣かせる」演出って、実は今川監督、そんなに得意じゃない(本人がどうやら得意だと思ってるらしいところは勘違いも甚だしいんだけど)。
 演出過剰、ご都合主義、つまりは「やりすぎ」て白けるってことなんだよね。『ジャイアントロボ』も毎回感動の押しつけで、7話も続くと、ちょっとばかし食傷気味になって、泣く気も起こらなくなってた。
 今回も、ナナに「決め」のセリフを喋らせようって意図は判るんだけど、そこまでの展開がいささか強引。さっきまでできなかった数学の問題が、ちょっと「やればできるよ」と言われただけで、ホントにいきなりできるようになるし。
 ……プラシーボ効果ってことなの?
 んな妙ちきりんな展開されても客はついてこれねーって。誰も今川監督に「感動もの」を作ってもらおうなんて考えちゃいないんだから、素直に「アニメ界の島本和彦」を目指してほしいもんである。

 あと、エンディングで623の声優が「?」になってるけど、石田彰じゃないのか。神近くんと二役で。イントネーションがそのまんま「歌はいいねえ」とか言い出しそうだったぞ(^^)。


 CSで『キャプテンウルトラ』『サクラ大戦』『南くんの恋人』『パワーパフガールズバレンタインスペシャル』と立て続けに見るが、これ全部の感想書いてたら字数オーバーしちゃうので省略。
 来週の分に2話まとめて書けたら書こう。
 まったく、毎回どうしてこんなに書きまくってんだろうかね。


 横溝正史『金田一耕助の帰還』(光文社文庫・680円)。
 あああ、横溝の横溝の、金田一の金田一の未読短編を読める日がまさか来ようとは……!
 21世紀万歳!(何のこっちゃ)
 実際、今年は横溝正史生誕100年。ということは亡くなってもう21年も経っちゃったのか。
 横溝正史死去を聞いた途端、
 「おおお、『女の墓を洗え』は!? 『千社札殺人事件』はどうなるの!?」と思ったものだったが、ついに予告されていたそれらの新作は、書かれざるままに終わってしまった(T-T)。
 横溝正史が恐ろしいのは、古稀を迎えてなおその創作意欲が衰えないばかりか、レベル的にも『悪霊島』のような、細部に至るまで目の行き届いた佳作を執筆していたところで、『象は忘れない』みたいな腑抜けたものしか書けなくなっていたクリスティーをはるかに凌駕している。
 まさしく、名実ともに「探偵小説の鬼」だったのである。
 だからこそ、社会派推理全盛の昭和30年代、横溝氏が意気消沈していたことが今更ながら悔やまれる。遺作と言われている『上海氏の蒐集品』だって、この時期に既に書かれていたまま、雑誌掲載のアテがなかったものだ。
 ああ、この時期「探偵小説のロマンは消えていませんよ!」と横溝正史を叱咤激励する編集者がいてくれたら……。
 だから、私はたとえラリってるトンデモ野郎でも、角川春樹は大好きなんである(お近づきになりたくはないが)。
 彼がいなければ、『仮面舞踏会』『迷路荘の惨劇』『病院坂の首縊りの家』『悪霊島』の、晩年の四作、横溝長編の中でも上位に位置する長編群は生まれなかった。
 ギリギリではあるが、なんとか間にあった。
 そして、現在の、横溝ブームを源流とする新本格ブーム、更には『金田一少年の事件簿』以降のマンガのミステリブームも当然、起こりえなかった。
 ……コラ、そこの「コナンくん萌え」のオタオンナ、君のオタクライフは、それくらい横溝正史と角川春樹の恩恵の上に成り立ってんだぞ、「えーっ、でもそんなムカシの作品なんて難しそうだしー」とか言わないで、原作読みなさい。

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02月14日(木)
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