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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ニンニクの家/映画『がんばれ!ジャイアン!!』/『キノの旅V』(時雨沢恵一)ほか
 仕事が混んでないので定時に帰れるようになった。
 ありがたいありがたい。

 今日はどこにも寄らずに帰宅するつもりが、結局「マルちゃん」に寄って二人でうどんを食う。
 ところが、しげの目当てのコロッケは売りきれている。
 仕方なく、しげはチクワを食って誤魔化している。
 かわいそうなので、私が頼んだ肉うどんの肉を分けてやる。
 それだけじゃ物足りなかったのだろうか、しげは帰りにコンビニに寄って、おからと餃子を買って食った。
 また、この餃子、いったいニンニクをどれだけぶち込んだものなのか、食ったあとのしげの口が異様に臭い。そりゃもう、田口ランディの『コンセント』で「口から死臭を漂わせる男」ってのが出てくるが、あんな感じか。
 もう、たまらなくて部屋の中を逃げまわるハメに。
 風呂に入って、歯を磨けって言ってもなかなかそうしないのはやはりイヤガラセだろう。普段は私に対して「歯は磨いた?」とウルサイくせによう。
 おかげで部屋中がニンニク臭くなる。
 ……この匂い、消えるかなあ。


 KBC(テレビ朝日系)アニメ『早春! ドラえもんスペシャル』見る。
 今日の目玉はオタク人気の高かった『がんばれ!ジャイアン!!』。
 岡田斗司夫さんが『オトナ帝国』と並んでプッシュしてた作品なだけに、そんなにいいのかと見てみたが、確かに佳作ではある。
 でも藤子さんが亡くなるまで、30面下げて堂々と『ドラえもん』映画を毎年見に行ってた身にしてみれば、素直に出来がイイって言いたくないところがあるんだよねえ。
 これまでの『帰ってきたドラえもん』や『のび太の結婚前夜』、『おばあちゃんの思い出』などの短編をリメイクしてきたのは、はっきり言えば、長編が藤子原作を離れてレベルダウンしちゃったのを補うための苦肉の策って感じが強い。事実、「長編より併映の方が面白い」と感じてた人、ネットを検索してみても意外に多いのだ。

 確かにこの映画、見所はたくさんある。
 最初の5分で、その「動きのよさ」にまず感心しちゃうね。
 ジャイ子のマンガを取り上げて、からかいながら逃げるジャイアン。
 信号でちょっと立ち止まり、足踏みしてまた脱兎のごとく走り出す、その作画のタイミングのよさ! クルリと後ろを振り帰り、ジャイ子との距離を測り、追い付かせるように見せかけてまたパッと距離を空ける。
 何がスゴイって、こういう軽やかな動きをジャイアンにさせるために、今回の映画版では、普段のテレビシリーズより「幾分痩せさせて」いるのだ! おまえはロバート・デ・ニーロか、ジャイアン!
 美術もここまでやるかってくらいに凝ってる。
 何しろ、剛田酒店の内部が、卓袱台はあるわ、テレビはチャンネル式だわ、小津安二郎か! ってツッコミたくなるくらい、昭和40年前後を再現しているのだ(もともと時代の変化の緩やかな物語だけれど、今回は特にあの時代の部屋の中の「薄暗さ」まで再現している凝りよう)。
 そういう技術とか演出とか、細部で惹きつける要素はたくさんある。
 けどねえ、やっぱり「藤子不二雄じゃなくなってるじゃん」ってとこも同じくらい随所にあるのよ。
 ストーリーは『シラノ・ド・ベルジュラック』をベースに(なぜかトキワ荘系のマンガ家さんでシラノ好きって人多いね。手塚治虫、石森章太郎、赤塚不二夫、みんな『シラノ』を一回は描いてる)、マンガ家の卵であるジャイ子と茂手モテ夫くんの恋の成就をジャイアンがサポートするって話だけれど、原作の方、それほど「感動」を押し売りするような話ではない。「結構いいとこあるぞ、ジャイアン!」って程度の話なのね。
 でも、そこが藤子さんの作劇の「抑制」が利いていて粋なとこなんだけれど、映画にするとどうしてもその「抑制」のタガを外してしまうことになる。今までの短編シリーズも、映画にするためのやむを得ない脚色だったとはいえ、「クドイ」のである。

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02月15日(金)
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