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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ほーりつも人が作るもの/映画『まあだだよ』/『仄暗い水の底から』(鈴木光司・MEIMU)ほか
   きれいなみずに みをあらい
   がまのほわたに くるまれと
   よくよくおしえて やりました

 三 だいこくさまの いうとおり
   きれいなみずに みをあらい
   がまのほわたに くるまれば
   うさぎはもとの しろうさぎ

 四 だいこくさまは だれだろう
   おおくにぬしの みこととて
   くにをひらきて よのひとを
   たすけなされた かみさまよ

 ここに「禊」のイメージ、あるいは「キリストの奇跡」のイメージを見ることもできようが、黒澤明が信じたのはおそらく徹底的な「善意」だ。
 黒澤明にとって「神」は、汚れをすべて取り去り、純化した「白」のイメージ、絶対の「善」の象徴だったのだろう。
 映画本編で歌われるのは四番の一節まで。
 「大国主命」の名は歌われず、そこで画面はフェードアウトする。
 もちろん、「大黒様」は「神」にほかならないが、それは「大国主」などという一人神に収斂されるものではない。だからそこで歌を切った。
 そして、「まあだ会」は、たくさんの「神々」が集うところとなるのだ。
 ただひたすらに美しく、優しい人々の。
 だから切ない。
 それは夢だから。
 まさしくファンタジーだから。
 ……やっぱり映画は二度三度、繰り返し見るもんだね。
 9年前、こんなふうにこの映画を見ることはできなかったから。

 公開当時も思ったことだが、百フ先生を演じるのは松村達雄ではなく、黒澤明自身であるべきだった。少なくとも、松村達雄には「百フを演じるのではない、私を演じてくれ」と演技指導すべきであった。
 なぜなら「先生」は「司祭」だからだ。
 そして、映画に司祭がいるとすれば、それは「監督」以外にはいないからだ。
 そこがちょっと惜しかったなって思うんである。


 何気なくテレビを見ていると、FBSの島田紳介の司会の番組で、『絶対に訴えてやるゾ! 芸能人VS最強弁護士団爆笑法律バトル第4弾』ってのをやっていた。
 こんなトラブルにあったらどうする? って、NHKの『生活笑百科』みたいな番組だけれど、アレを見てていつも思ってたのは、「この弁護士さんの判断ってホントに正しいの?」であった。
 その点、この番組が面白かったのは、弁護士を四人並べていたことである。
 つまり、どっちが勝つかってのが、弁護士さんの判断によって割れるのね(^^)。ある程度一致するんじゃないかって観測はほとんど外れて、全員一致の判断は数えるほどしかない。
 やっぱり、法律って、アナがありまくりなのだね。

 「夫が自分と結婚する前に整形していた。慰謝料は取れるか?」
 これが意見が割れるんだよねえ。
 「精神的苦痛を受けたんだから取れる」
 「イイ男と一緒にいられてハッピーだったんだから取れない」
 どっちがホントなんだよ、要するにウマイ弁護士に当たれば取れるってことかい。
 しかし、ゲストのえなりかずきをサカナにして「ヘンな顔だから訴えてちゃ、えなりくんの立場はどうなる」と弁護士が言ったのには、妙に説得力があったな(^o^)。

 「人に貸した車を、自分が使いたくなって、借主に黙って使ったので窃盗罪で訴えられた」
 これがなんと全員有罪。
 借主に一種の既得権が生じるらしいのな。
 マジメに考えると理不尽だけれども、そのへんを誤魔化すつもりだろうか、借主をグラマーなねーちゃんに仕立てて「色香に迷った男が悪い」風に演出してるんだよね。これはちょっと、テレビ的過ぎてアザトイなあ。

 「氷川きよしがコンサート中、最後の一曲を歌ってる途中で腹痛で退場。チケット代は払い戻してもらえるか?」
 「やだねったら、やだね」を歌ってない段階なら払い戻してもらえるそうな。
 ……ホントかよ。
 どっちかっつーとトラブル避けるためにあえて返却してるって気がするけどな。

 できれば「四人」じゃなくて「五人」にした方が奇数だからはっきり結論が出るのに、それをやらんのは「結局、法律はようわからん」ということだからなんだろう。
 結論。何か問題が起こっても、すぐに諦めない。

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02月09日(土)
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