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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ラーメンファイト!2/映画『ヴィドック』/『萌えろ!杜の宮高校漫画研究部 辣韮の皮』1巻(阿部川キネコ)

 ともかく喜多方や旭川には30分待っても入れそうにないので、「横浜 六角家(ろっかくや)」に入る。
 しげは餃子を目当てにしていたが、どういうわけか「都合で餃子とシューマイは中止しています」の張り紙。
 都合ってなんなんだ。料理屋でそういう不明瞭なことやってると、即、客足に響くと思うが。
 空いてるとは言っても、それでも10分は待たされる。
 カウンターにやっと座ると、比較的早くラーメンは運ばれて来る。
 豚骨と鶏ガラの醤油スープ、表面にこってり油が浮いているので、どんなに濃いかと思ったら、そうでもなかった。もっとも待たされて結構腹が減っていたので、今日の舌はちょっとアテにならないが。どっちにしろ、麺が細麺なので、私の口には今一つ。
 それでも食べているうちに口のなかがもっちゃりしてきたので、カウンターに置いてあったとんがらしを汁に混ぜたら、入れすぎて、臭みはなくなったが舌が痺れた。ちょっと失敗。

 「あー餃子食べそこなった」
 と、しげが口をとんがらせているので、もう一軒、「熊本 味千拉麺(あじせんらーめん)」に入る。
 ここのラーメンは、豚骨スープに、秘伝のタレ「千味油」を混ぜたものとか。いや、これがまたムチャクチャ辛い。さっきとんがらしで痺れた舌が更に痺れるくらい辛い。
 しかし、麺には腰があって、スープとまあまあ合っている感触。
 しげはとりあえず餃子が食べられて満足のよう。 


 映画『ヴィドック』。
 帝都の平和を守る名探偵・明智小五郎は、世紀の殺人鬼、黄金仮面を追っていた。
 ついにある工場で黄金仮面を追いつめた明智だったが、逆に窮地に追い詰められ、奈落の底に身を落とす。
 翌日の新聞は、大々的に「名探偵・明智小五郎死す!」の報を流した。
 探偵事務所で留守を守っていた小林少年は悲しみに沈む。
 そこへやってきたのは、明智小五郎の伝記を書いていた探偵作家、江戸川乱歩。
 「二人で明智くんの敵を取ろう!」
 乱歩と小林少年は、明智が捜索していた人々を辿り、黄金仮面の正体に迫ろうとする。

 事件はもともと、二人の男が落雷で殺されたことに端を発していた。
 その奇怪な殺人方法の謎が解けず、警視庁の波越警部は、明智に事件の捜査を依頼する。
 明智は落雷した死体の帽子に、避雷針となる銀の櫛が残されていたことに気づく。それは謎の女、緑川夫人のものだった。

 乱歩は、緑川夫人に会い、夫人もまた明智とともに事件の謎を追っていたと告げられる。
 振り出しに戻った事件。
 その間も、事件の鍵を握る人間が次々に殺されていく。
 まるで乱歩の行く先々を狙いすましたかのように。
 それでも黄金仮面の目的が、人体実験による不老不死の霊薬を作るという悪魔の研究にあることが見えてくる。

 そして乱歩、小林少年、緑川夫人、波越警部は、明智の死を見届けた老人を発見する。彼は、まさしく明智が命を落とした工場に潜んでいた。
 老人の口から語られる黄金仮面の正体は誰か。
 彼は自らの仮面をも剥ぐ。
 その姿に驚く一同を尻目に、おもむろに彼は言う。
 「犯人はこの中にいる」……と!

 え〜、冗談ではなく、『ヴィドック』はこういう筋です。
 フランス・ミステリーが江戸川乱歩のルーツだってことが証明されたような映画でしたねー。これはもう、無条件でお薦めです。犯人やトリックはミエミエなんだけど、そんなこと言ってたら、この伝統的な「怪人対名探偵」の古典的ストーリーは楽しめませんな。
 なんたって、ヴィドックは、実在の人物であるにもかかわらず、もと怪盗にして後の名探偵、変装の名人、フランス警察はおろか近代警察制度の基礎を作り上げた稀代の英傑。
 ジャン・バルジャン、アルセーヌ・ルパンを地で行った……っつーより、モデルになった人物であります。もちろん、本邦においても、明智小五郎、獅子内俊次、多羅尾伴内ほかの名探偵の造型に、多大な影響を与えた。

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02月03日(日)
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