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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■オタアミビデオと平成生まれと夜のドライブと/『ナジカ電撃作戦』FINAL MISSION/『名探偵ポワロ 白昼の悪魔』ほか
 ナジカはどうあってもアルファを回収しなければならない。それが任務だ。
 しかしリラはアルファと一緒に行きたいと願う。
 『ナジカ』もまた、これまで数限りなく普遍的に描かれてきた「創造者と被創造者」「神と人」「親と子」の葛藤を主軸にした物語であったのだ。誰にも答えられない問いかけを内包し続けるそれの。
 銃声が鳴る。
 倒れたのはどちらか。『柳生連也斎』のようにそれは描かれない。
 ナジカは再び一人の任務に戻る。雑踏の中、ナジカが見かけたのはリラとアルファの二人。あれは現実か幻影か。
 微笑むナジカ。
 ……オチの付け方として、まあヘンではないけれど、なんか残尿感……いや、物足りなさを覚えるなあ。公式ホームページを覗くと、「続編を睨んでるんじゃないか?」と憶測してる人がいるが、そりゃ作ってほしくはあるが(なんたってたった12話だ)、そういう取らぬ狸の皮算用は余りしてほしくないもんである。

 途中からほとんどヒューマリットの回収話になっちゃったけど、純粋なスパイアマションも見てみたかったし。全話通して見て一番の傑作はやっぱり5話の「深紅に染まる水平線ははかなき夢と共に」だったかな。作画レベルも最高だったし、なにより尼僧姿のヒューマリット、コハルの冷徹さが光る。9話の「勇壮なる砂漠の獅子は女神と共に」のエリスも印象深い。転向したマスターを、マスターとして認識できなくなったヒューマリットが自らマスターに成り代わる……。融通が利かないヒューマリットだからって設定だけど、洗脳されてこんな状態になってる人間も現実には腐るほどいるしねえ。
 多分、我々人間は、たいして立派なココロは持っちゃいないんだろうな。……
ううむ、パンチラアニメでこんなに深刻に考えさせられることになろうとは。やっぱりミヤザキハヤオばかり見てちゃいけないね。


 NHK総合『名探偵ポワロ 白昼の悪魔』見る。
 今も続くデビッド・スーシェ主演版『ポワロ』の最新作。
 ピーター・ユスティノフ主演版『地中海殺人事件』と原作は同じなので見比べてみるといろいろ面白い。
 原作はアドリア海が舞台なんだけど、映画では地中海に変更。今度のテレビ版ではどこだったんだろう。NHKのホームページの解説には「小島」としか書いてないけど、ここが実にいいムードなんだわ。
 普通、島に渡るんなら船で、と思うでしょう。ところがポワロたちが使うのは高足の水中(上?)車。つまり浅瀬をずっと、車に乗って行く格好なんですね。まさに「浅瀬でランデブー」(←「オタアミ」見てる人にしかわかんないネタ)。
 原作に登場しないヘイスティングス、ミス・レモン、ジャップ警部を登場させるために、突然体を壊して倒れたポワロを、リゾート地に行かせて運動と食事療法の付き添いをさせるとか、ちょっとした変更はある。……なんだか糖尿病である私と境遇は似てるが、私にはリゾートで休む余裕はないのだ。ちょっと羨ましいぞ。
 結局、ポワロが体調を崩したのは、ヘイスティングスが紹介した食堂が食中毒を出していた店だとわかり、ヘイスティングスが恐縮するオチがつくのだが、そういうエピソードを紹介するなら、もう10分は尺がほしいところだ。後半展開にやや慌しさを覚える。
 けれど、概ねストーリーやトリックは原作通り。
 ラストで真犯人にポワロが首締められて殺されかけるところまで再現(映画じゃグーで殴られてた)。
 けれど、この原作、リゾート地を舞台にしてるからいかにも映像化に向いてるように見えるけど、メイントリックは活字ならではのものなんで、映像で見るとバレバレなんだよね。
 昔の映画版も、当時つきあってた彼女と一緒に見て、途中でトリックがわかったもんだから、ついそれを口にしちゃって、顰蹙をかってしまった(当時は原作は未読だったのである)。
 「クリスティーがそんな単純なトリック使うわけないでしょ?!」と彼女は怒っていたが、最後まで見るとその通りだったので、凄くプライドを傷つけられたような顔をしていたのだ。もしかしたらフラれた原因はそれだったのかもしれない(^_^;)。

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01月02日(水)
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