ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491652hit]

■はったらっくおっじさん/『BEST13 of ゴルゴ13』(さいとう・たかを)
 ……ああ、でも今の私がクビになったら「病人」ってことでどこも雇っちゃくれないんだろうなあ。実際、10年先まで働けてる自信はないし、細々とでもやれる仕事を考えてくしかないかなあ。


 なんか、こういうことをぼんやりと考えてるのも、体調が一向に回復しないせいである。結局、カラダがだるくて立ってられなくなったので、2時間ほど早めに帰宅。

 しげがパソコンを使っているので、「使い終わったら教えてね」と言って、布団に潜りこむ。
 するとしげが「使うんなら使いーよ」と言う。
 「いや、お前が使ってるから使っていいよ」
 「アンタが使いたいんだったら使えばいいって言ってるじゃん!」
 「オマエが先に使ってるんだから俺は後でいいよ!」
 「いい、もう使わん!」
 「オレも使わん!」
 気がついたら口げんかになってたが、これって「譲り合いのケンカ」コントそのまんまだ。
 「漫才みたいな夫婦」とはよく言われるが、単に知能のレベルが低いだけなんだよなあ。
 

 ふてくされたんで、横になってプレステ2でゲーム。
 と言っても、新しいゲームはほとんど知らないので、『いただきストリート』なんて、もう3、4年前のゲームをやっている。
 しげが『桃鉄』の新作を買ってきているので、仲がよいときゃ二人でやるんだが、今日は一人サビシク、コントローラーをいじくる。
 でも、気がついたらハマってて、もうしげのことなんか忘れてるのだ。
 ずいぶん薄情な感じだが、なあに、しげだって、メシ食って一晩寝たら、今日のことなんてケロリと忘れてるから、お互様なのである。
 ああ、やっぱり我々夫婦って同レベル……(-_-;)。


 マンガ、さいとう・たかを『READERS’CHOICE BEST13 of ゴルゴ13』(小学館・1800円)。
 1969年以来30年以上、休載することなく続いている『ゴルゴ13』の読者選出ベスト13。
 ベストの中身を見てすぐ気がつくのは、ゴルゴの正体を探ったエピソードが高順位に来ている、ということだ。
 11位『ミステリーの女王』
 6位『毛沢東の遺言』
 3位『芹沢家殺人事件』
 1位『日本人・東研作』
 と、十三本中、3分の1を占める。
 確か十年以前に人気エピソードを募った時も、1位は同じく『東研作』だったと思うから、初期からの『ゴルゴ』ファンは、根強く今もファンであり続けているのだ。
 しかも、このベスト13には、ほんの数年前の作品も収録されている。新しいファンもちゃんと取り込みながら連載が続いているのだ。しかも、そのレベルが落ちていない。これは驚異的と言っていい。
 いしかわじゅんが『漫画の時間』の中で、『ゴルゴ13』の擬音の描き文字が変化していないことを挙げて、「作家の努力不足」と断じていたことがあったが、それは見当ハズレな批判というものだろう。確かに「今どき銃声に『ズキューン』はないだろう」という意見も判らなくはないが、30年間続いている連載で、「音」だけ変化させられるものでもない。絵柄が自然に変わっていくのは仕方がないにしても、ゴルゴのキャラクターを含めて、「変えないでほしい」部分は多々あるのである。
 正直にここで告白しちゃうけれど、私は世界情勢を『ゴルゴ』を呼んで間に合わせていた時期が確かにあった。MI6の長官はずっとヒュームって言うんだと思ってたものなあ(笑)。
 政治を扱った物語には、どうしても作者の思想性が出る。『沈黙の艦隊』をどうしても称賛する気になれなかったのは、エンタテインメントから一歩も二歩も踏み出していて、それがどうも「反則」だと私には思えていたからだ。
 ゴルゴ13には思想性がない。
 彼はあくまで非情のスナイパーである。
 ビジネス上のルールには厳しいが、依頼主の思想性には頓着しない。時によっては右も左も関係なく依頼を受ける。世界情勢がいかように変化しようと、そういったゴルゴのキャラクターだけは変わらなかった(どんどん寡黙になっていったが)。
 そこが実に小気味よかったのだ。

[5]続きを読む

12月17日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る