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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■探偵小説ネタ多し。ついて来れる方、求む/『死神探偵と憂鬱温泉』(斎藤岬)ほか
 西南大学に「アナタノガッコ、キリスト教、教エテマスネ。90分後ニ爆弾シカケマス」とイタズラ電話があったとか。
 カタコトの日本語、ということだが、このコトバの壊れ方が実にウマイ。
 「爆弾を仕掛けました。90分後に爆発します」じゃなくて、「90分後にしかけます」だもんなあ。
 捕まっちゃうって、それじゃあ。\(^▽^@)ノ
 恐らく犯人は本当に日本語に不自由している外人さんなのであろう。たとえ日本人であっても外人であるに違いない。


 マンガ、斎藤岬『死神探偵と憂鬱温泉』(ソニーマガジンズ・546円)。
 ミステリマンガ専門の『Bstreet』連載の初単行本化。本格ミステリを描くのは初めて、というわりにはそう悪い出来ではない。
 だいたい、「どこかに旅行するたびになぜか殺人事件に巻き込まれるおかげで『死神探偵』と仇名がついた」って主人公、鹿神孝(ししがみこう)の設定自体、人を食ってて面白い(「何で俺ばっかりこんな目に」って、そりゃ作者がサドだからだろう)。
 まずはこの「死神探偵」の称号、浅見光彦に捧げるべきではないかと思うがどうか(^^)。
 お堅いミステリファンなら(あるいは浅見さんや金田一さんの熱狂的なファンなら)激怒しちゃうかもしれないけれど、こういうパロディックな設定、私は全然キライじゃない。
 少なくとも、これは「探偵が事件に巻き込まれるのは『運命』であって、事件に関与しているわけではありませんよ」という読者への記号として機能しているのだ。けだし、作者はフェアプレーの精神の持ち主というべきではないか。
 開巻10ページほどでもう、温泉旅館で首吊り死体の発見、ドラマのテンポは実にいい。トリックはたいしたことはないが、目くじらを立てるほどでもない。
 難を言えば、現地の警官がミステリの定番で全くの無能、小学生でも気がつくような自殺体と他殺体の違いを見逃すというミスがあるが(それに、自殺体だって不審死は全て解剖に回されるのだから、自殺に見せかけた他殺だってことくらい、すぐにバレる)、それは短編なので余りワキのキャラにまで気を回せなかったのだろう。


 マンガ、細野不二彦『ギャラリーフェイク』23巻(小学館・530円)。
 23巻も続いた(しかも不定期連載)ということは、もう7、8年にはなるはずだ。ということはフジタもサラも結構なトシになってるんじゃないかと思うが、一向に二人の仲は進展しない。その辺、まだまだ少年マンガの尻尾を引きずってるよなあ、細野さん。
 別にサラとフジタが深い仲になっても、マンガは続けていけると思うんだけどねえ。

 今巻では「アイボ」をネタにした猫型ロボット「タマエモン」(ちょっとこのネーミングはどうかと思うぞ)をフジタが「フェイク」と否定するあたりが逆説的で面白い。贋作を扱っているくせに矛盾しているんじゃないか、という批判もあろうが、フジタのポリシーは、贋作でも真作以上の「美」がそこにあるのなら、それは真作と同じものである、という点にあるのだ。
 伊丹万作の『国士無双』なわけだね、つまりは(譬えが古いか)。
 私も、アイボをほしがる人間の心理っちゅーのがよく解らんので(同じく、『ファイナルファンタジー』もよく解らない。CGキャラでブス作ってどうするんだ)、フジタ……っつーか細野さんの意見には全面的に賛成。
 マンションじゃ犬猫が飼えないから、ってのは口実だろう。ホンネは、「シモの世話をしたくないからロボットペットを」って発想じゃね〜のか。でないなら、「ウンコをする」ペットでも開発してみろよ。それでも飼うヤツがいたら立派だと誉めてやってもいいけどな。
 
 全部のエピソードは紹介しきれないので、もう一つだけ。
 神田神保町の古書店街を舞台にした話があるのだが、ここで細野さんが、相当なミステリマニアであることがわかる。
 話の中心になってるのが、「山田休太郎の『聖女淫楽』探し」ってのが、思わず「おお」と膝を叩いちゃいたくなるのだが、もちろんこれは「山田風太郎の『虚像淫楽』」のパロディ。

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10月09日(火)
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