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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■彼岸の人/ドラマ『ブラック・ジャックV』/『ドンキホーテのロンドン』(鴻上尚史)ほか
「お前がそう言うと思って、昨日から着替えてない!」
……あ、臭いのは私もだった。
どっちにしろ、しげが洗濯をサボったせいでこういう事態に立ち至っているのだ。自分のやったことを確かめもしないで意地だけ張るのがあまりに業腹なので、怒って洗面所にしげを追い払う。籠の中に洗濯物が残っているのを発見して、しげはやっと自分のボケに気がついたらしい。ブツブツ言いながら洗濯を始める。
多分、しげの脳細胞は寝ている間にどんどん死滅しているのだ。
テロップで近鉄優勝とのニュースが流れる。
ああ、ダイエー勝てなかったか……とちょっと気落ちしちゃったのは、別に私が福岡生まれだからではない。
多分、私の野球の知識は、岡田斗司夫さんか虹森多佳子さんナミなので、見ていてそう面白いものではない。ゲームの「面白がりどころ」がどこだか見当がつかないのだ。
まあ、虹森さん曰く「ホームランだけは解りやすいんですけれど」。
『スタジアム 虹の事件簿』を読んでて思わず頷いちゃったのは、虹森さんのこのセリフだったりするのだ。実際、王選手の現役時代は756号や800号の瞬間をか見たくてテレビにかじりついてたけどね。それ以降はサッパリ。
西鉄ライオンズの3連覇も生まれる前のできごとだしな〜。親父とお袋は二人揃って徹底的な巨人ファンだったから、地元球団に対して思い入れできる材料自体がなかったのだ。
それでも今まで、あの福岡ドームの中に5回ほど出かけてはいる。
1回目はコミケ(多分ドームができて2年目くらい)、2回目はオヤジに連れられて試合観戦(ダイエーは見事に負けた)、3回目は家電製品の即売会、4回目は2年前のダイエーの日本シリーズ優勝の中継観戦、4回目は去年の5月ごろ、ペナントレース観戦(やっぱり負けた)。
自分から出かけて行ったのは、家電製品を買ったときだけで(あの時は何を買いに行ったんだったか)、後は全部、知り合いとのつきあいである。
福岡県民が全てダイエーのファンってわけじゃないのだ。
じゃあ、どうして残念だったかっていうと、「もう一度ON対決」が見てみたかったって、それだけ。
八百長、とはちょっと違うが、スポーツだって人間のメンタル性の影響が強い以上、勝負になにかしら「時代の要求」みたいなものが関与してくることはありえるだろう、と思っている。
去年は日本全国の誰もが「ON対決」を望んでいた。そんな中で他チームが「巨人」や「ダイエー」に勝つことがどれだけムズカシイか。まさしく「20世紀を締めくくる対決」をみんなが待ち望んでいたのだ。
けれど今年はどうだろう。昨年の覇者でありながら、巨人戦の視聴率は全く振るわず、話題は殆どマリナーズのイチローだ。人々が野球にゲームとしての面白さではなく、「時代のヒーロー」を求めているのだということがよく解る事実ではないか。
9時からRKB毎日放送、『ブラック・ジャックV 悲劇の天才料理人』。
画面に出て来たタイトルはこれだけだけれど、新聞を見ると「舌から味覚が消えていく? 鬼の頑固シェフを襲う脳のガン“俺を今すぐ殺してくれ”」とサブタイトルが。
……これ見て、この番組面白そうだ、と思うやつがいるのかね(^_^;)。
前二作を見逃しているのでどんなものかと思ったが、これがもう、楽しいくらいの珍品。
マンガの実写化がそもそも不可能だってこと、演出の堤幸彦は熟知しているのだろう。最初のテレビ化が『加山雄三のブラック・ジャック』てあったように、ここでは『本木雅弘のブラック・ジャック』をひたすら描く。
もちろん、それは正しい。
本当にリアルな医者のヒューマンドラマを作ろうと考えるなら、そもそも欺瞞だらけの手塚原作に頼る必要はない。……『ブラック・ジャック』って、そんなに「名作」か? 作者自身、あとづけで設定やらテーマやらを考えていったシロモノだぞ(まあ、手塚作品は全部そうだが)。
とにかく今回のドラマ化も頗るデタラメ。
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09月26日(水)
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