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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■裸という名の虚構/『アイドルが脱いだ理由(わけ)』(宝泉薫)ほか
おお、いいぞ、この子。アタマのいい子ってのは、それだけでナマイキに見られちゃうものだが、それを「崩す」手段を知っているのだ。こういうのが「知恵」ってもんなんだよなあ。しかも優勝の百万円は、クラスのユニフォームを作るために使うらしい。……ううむ、みんなに憎まれない根回しも万全だ。やるねえ。
なんだか「知恵の一太郎」(江戸川乱歩の小説に登場する利口な少年)みたいだなあ、と思っていたら、名前が「小林くん」……おい、ホントに「小林少年」だ(笑)。
『ニュース23』で、多重人格の母親を支える家族のドキュメント。
日本には多重人格の症例は少ないと言われる。あっても詐病だと主張する医者もいるが、これは日本人の生活そのものが基本的に多重人核的だからだと説明されることが多い。
詐病でもなんでも、本人がそう「思いこんでいて」、「回復しない」のであればそれは立派な病気だ。
このお母さん、主人格のほかに、3歳、6歳、18歳のほか、年齢不詳の女、更には乱暴な男の人格まで、都合9つもの人格を持っている。やっぱり子供のころ、親に受けた虐待がもとになって、人格が乖離していったらしい。
これを「逃げ」だと見なすのは、自分は確固たる人格を持っていると思いこんでいるモノマニアの「偏見」だ。
こういう多重人格、言ってみれば本人による治療だと言ってもいい。果たしてビリー・ミリガンのように、一つの人格に統合しようとすることが正しい治療と言えるのかどうか。
乱暴な男人格さえなんとかできれば、後は人格が九つあろうが百あろうが、生活するになんの支障もないのだ。他の人格と共存していけるのであれば、それも一つの生き方と受け入れていく方法を選択してもいいのではなかろうか。
ここ二ヶ月ほど、日記の更新がなかったマンガ家の安奈さんへ宛ててメールを送る。
個人的なメールを女性の方に送るのは、場合によっては相手に対して失礼になることもあるし、何よりしげにものすごくヤキモチを焼かれてしまうので憚られはしたのだが、ふと、もしも自分がツライときに誰からも声をかけてもらえないとしたらヤだなあ、と思ってお送りすることにしたのだ。
幸い、夜中にご返事があって、感謝していただけたので、ホッと胸をなでおろす。
安奈さんの描かれたマンガが、どんなのか無性に読みたくなってしまったが、こればっかりはご本人が匿名を守られている以上は、詮索できないんだよなあ。
マンガ、尾田栄一郎『ONE PIECE』20巻(集英社・410円)。
20巻の大台に入って、ルフィたちとバロックワークスとの戦いもいよいよクライマックスに近い印象。少年ジャンプの対決マンガの黄金パターン、「団体戦」が展開されてるのだけれど、スポーツの試合じゃあるまいし、全員で各個撃破したほうがずっと効率がいいだろうに、なんて突っ込むのはもう今更かなあ。
でもねえ、「パターンをなぞる」ってのは、そこにちゃんとなぞるだけの「効果」があると自覚した上でないと、結果的に「陳腐」って印象しか与えないんだけど、そのことちゃんと編集者は尾田さんに教えてるか? 教えてないよな、だって『ジャンプ』だし。
もう、『リンかけ』以来私ゃその手のパターンに飽きてるから、気分的にはもう、「絶対に勝ちそうにないキャラにいかに勝たせるか」って方に興味が行っちゃってるのね。
たとえ初めにどんなに追いつめられたって、ルフィやゾロやサンジが勝つのは意外でもなんでもないのよ。
ウソップやトニートニー・チョッパーをいかに勝たせるか。
ここに作者の技量が現れると言っていいのだ。……そういう肝心なところを読み飛ばしてないかねえ、ヤオイ系の『ワンピース』ファンはよ?
結論を先に言っちゃえば、尾田栄一郎、まだまだ捨てたものではない。
ウソップとチョッパーの敵を、いかにも二戦級なミス・メリークリスマスとMr.4の二人に設定してるって点では、ドラマチックな要素がマイナスされちゃってるんだけど、演出でその弱点を随分カバーしている。
NO.4の特殊能力を説明するあたりのテンポが実にいい。
チョッパーが、「4番バッターで犬と一緒なんだ!!」。
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09月06日(木)
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