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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■風が痛いから?/『新天地無用! 魎皇鬼』1巻(奥田ひとし)ほか
私も慣れているので、こういう時はたいてい“しげの周囲に探しものがある”ことはわかっているのである。
……昨日も「『J‐COM GUIDE』、その辺にない?」と聞いても、「知らんよ!」と答えていたが、実際はしげがその巨大なケツの下に敷いていたのだった。
……少しゃ空気抜いて小さくしろよ、そのケツ。
で、パソコンのところに行くと、やっぱり鍵がテーブルの端に置いてある。
「やっぱりあったやんか!」
「なら、いいやん」
“ならいい”って問題じゃないって(-.-")凸 。
で、やっと乗った自転車も、空気が抜けててパンク寸前。
なんだかなあ。
天神に向かっている途中、しげがいきなり「アンタが喜ぶような悲しい話ししたげようか」と言い出す。
なんだその矛盾しまくったコトバは。
「……読んだよ、アンタの小説」。
今ごろ同人誌『オトナ帝国の興亡』の感想である。
ついこの間までは、「あんたの書いた小説なんか読む気がしない」なんて言ってたくせになあ。
あれ書いてる時は、劇団の脚本をほったらかして没頭してたから(と言っても足掛け二日、正味8時間くらいしか掛けちゃいないけど)、しげは自分がないがしろにされたような気分になってたのだろう。
心境の変化は、先日の日記に「しげを念頭において書いた」と記述したのを読んだからかな。
「泣いたよ」
「は?」
「アンタの書いたの読んで、初めて泣いたよ」
「……どうしたんだよ、いったい?」
しげが私の書いたものを読んで誉めるなんて、青天霹靂、驚天動地、吃驚仰天、天丼定食、天然電髪の出来事だ。
「ケンのセリフにあったじゃない。『一緒に花火を上げよう。いつまでも一緒だ』って」
……ああ、確かに、そんなセリフを書きはしたなあ。
人形のようなチャコに、ケンが心を入れようとして言ったセリフだ。
けれど私はそれを非常に空虚なセリフとして書いたのだ。伝わるはずのないセリフをムリに口にしているような、だからあえて描写はしなかったが、そのときのケンは全くの無表情だったはずだ。
そのセリフで泣いたってのは、いったいどういうわけなのか。
「うらやましくって」
「なんで」
「だってアンタ、あんな言葉、言ってくれないもん」
……ああ、また現実と虚構の区別がついていない。
現実にこんなセリフを女に向かって吐くヤツがいたら、そいつはタラシという以前に脳天がイカレてるぞ。
だいたい私が「花火を上げよう」なんて、どこから三尺玉を調達してくるというのだ。花火師の資格だって持っちゃいないのに、そんなことしようものなら即、逮捕だぞ。
私がしげに言ったことがあるのは、コンビニで売ってるような、ささやかな花火だ。
……で、実際、花火をしたことだってあるけど、夏の夜のこととて、蚊に食われまくってムードもへったくれもなかったのであった。
「でもホントだね。泣くことと作品の出来とは関係ないって」
なんだとこのやろう(`m´#)。
「ああ、今、思い出しただけでも泣けて泣けて。……この『女泣かせ』!」
女泣かせって、コトバの意味が違うだろうが!!
……実はずっと昔も女泣かせな小説を書いたことはあるのだが、どうもそういうのって、一度書きだすとクセになるので、最近はできるだけ避けてるのだ。
それに私が「いい人」だなんて誤解されたりもするし。
全ての女性に言っておきたいが、この世に真実フェミニストなオトコなんていないよ。「男社会」を批判する女性闘士も、「白馬の王子さま」に憧れる夢子さんも、男に幻想を抱いている点では同じなのだ。
不即不離、オトコとは現実的な距離を保つのが利口な生き方だと思うよ。
けれど、これで昨日、しげがビデオ録画の邪魔をするようなイヤガラセをした理由がわかった。
現実の私がロマンチックでもなんでもないので、逆恨みをしていたのだ。
……こんな理由でヤツアタリされてたら、マジで身が持たんわ(-_-;)。
9月15日はしげの誕生日なのだが、この間からしげは「パーティでもしようか」、などと持ちかけている。
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09月02日(日)
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