ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491748hit]
■猛暑に耐えるくらいならクーラー病の方がいい/『(週)少年アカツカ』(赤塚不二夫)ほか
でも、「暴れていた茶髪軍団がいた」って報道はなんなんだろうねえ。まるでそいつらが全ての元凶のような言い方だけど、逆に「茶髪の連中が混乱する群集を懸命に誘導してた」って情報もあるぞ。「駅に向かえ!」とか誘導の声がちょっとでも大きかったら、あの鮨詰め状態の中だ、怒鳴って暴れてると錯覚することもあったのではないか。
歩道橋の上に3000人だか詰め込まれている状況で、パニックに陥ってなかったヤツはそうそういまい。もしかしたら、そういう情報を流しているヤツの方が、倒れた人間を踏み殺してたことを誤魔化すために責任を他人におっかぶせようとしている可能性だって否定できないぞ。
どうもみんな、憎しみの矛先を求めて餓狼と化しているみたいで、見ていてどうにもイヤラシイ。
そんなに誰かに責任を取らせたいなら、当日あそこに集まってきた客全員に均等に責任があるってことにしたらどうか。人が集まんなきゃ事故だって起こるわけはないのだから、これ、間違いではないよな。初めから花火大会なんかに行かないか、遠巻きに見るかすればいいだけの話なのに、「人より少しでもいい位置に」と欲にかられて動くから、事故も起きるのである。
でもどうせみんな「俺たちは関係ない」と言い出すに決まってるのだよな。責任を回避したいという意識が誰の心にもある以上は、いつかまたどこかで、似たような事件は起きるのだ。
マンガ、赤塚不二夫『(週)少年アカツカ』。
『天才バカボン』『ヒッピーちゃん』『もーれつア太郎』『おそ松くん』の中からセレクトした短編集。
しげから「なんでアカツカ?」と聞かれたが、買って悪いか。
昔のマンガがつまらないと考えるのは、往々にして読者の錯覚で、その時代の読み方の文脈を知らないせいである場合が多い。
言ってみれば、「歌舞伎」が所作事を知らねばチンプンカンプンであるのと同じで、マンガそのものがつまらないのとは異なるのだ。つまり、その時代の、その分野での「お約束」を知らないと楽しめないようになっているのである。
ニャロメの絵を見て「こんな猫いるわけないじゃん」とか「絵が古い」とか突っ込んだって意味ないってこと。
『おそ松くん/チビ太の金庫やぶり』、収録されてるの、これもしかしたらリメイク版じゃないのかなあ。昔、読んだものより、絵が「新しい」ように思うのだ。しかもラスト近くのコマ運びもおかしい。単にページが入れ違ってるだけでなく、話がうまくつながらないところがいくつかあるのだ。
……昔の作品を引き写してるうちに、酔っ払ってたんで間違えたとか、そんな理由じゃなかろうか。
多分、これ、赤塚さんのオリジナルじゃないな。
刑期を終えて出所した金庫破りのチビ太、トト子ちゃんのうちの魚屋に住み込みで働いているが、刑事イヤミは、チビ太が再び金庫破りを働くものと考えて虎視眈々と逮捕の瞬間を狙っている。
ある時突然、事件は起きた。トト子がうっかり金庫に閉じ込められてしまったのだ。早く助けないと呼吸困難で死んでしまう。チビ太はイヤミに監視されていることを知りながら、トト子を助ける。
金庫破りの腕を使ってしまったチビ太、イヤミに逮捕されることを覚悟するが、イヤミは「チビ太なんか見たこともない」と言って去っていく。
調べてみると、昭和8年の邦画『女学生と与太者』ってのが全く同じ筋。でも更に元ネタの小説か映画が外国にありそうだよなあ。でもどこの国のどんな作品だか、よく分らないのだ。
……誰か知ってる人いない?
マンガ、牛次郎・ビッグ錠『釘師サブやん/ゴト師・忍び竜!!』。
今では「ゴト師」という言葉も結構知ってる人が増えてきたけど、当時この『サブやん』でその存在を知った人も多かったのではないか。
パチンコ専門のイカサマ師のことである。
一応プロの釘師であるサブやんが、ゴト師について詳しくないと言うのはちょっと変な気もするが、これはあとで「玉光の書」という「釘師の極意書」をサブやんが読む、というエピソードの伏線になってるのだから仕方がない。
[5]続きを読む
07月23日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る