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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■愛のバカクサ物語/『フロン』(岡田斗司夫)/DVD『ウルトラQ』1巻ほか
 つまり「こういう馬鹿女をはびこらしたのは今の社会を作ってきた馬鹿男の責任でもあるから、なんとかせんといかんな」ということであるわけ。
 結論として導き出される「家庭から夫をリストラせよ」ってのが、「男が自由で女が子育て全部しなきゃいけないなんて女に不利じゃん」って見られちゃうかもしれないけど、「リストラ」ってのは「無能を雇う余裕はない」ってことなわけでしょ?
 社員が二人しかいない会社で片方が足引っ張ってたらその会社が潰れるのは当たり前じゃないの。「無能な男に頼るな。自分の頭で考えて自活せいや、この馬鹿女」って言ってるのと同じなわけです。

 実はウチの親、岡田さんの言ってる男のリストラ、もう三十年も前に実行してたようなもんでね。
 実家は床屋なんだけど、私が子供の頃、夫婦にありがちな「離婚の危機」に発展したらしい。でも商売人の離婚ってのは、即、売上に響く。世間体とかなんとかより、そっちの問題の方が大きかった。
 でどうしたかと言うと。
 床屋の支店開いて、それぞれに独立したんだわ。
 会計も何もかも別。もっとも片方の店が忙しくなったら、私が留守番して、本店と支店を行ったり来たり。
 いやもう、子供のころはその留守番のために一日に何度も両方の店を自転車で往復させられてたんだけどね。……そうなのよ、本店と支店って、距離が100メートルしか離れてないの。
 でもこれだけで夫婦の危機が回避されてたんだから不思議なもんだ。
 実の所、お袋の方の店は経営が苦しくて、また「女の店か」と客に馬鹿にされることも多くって苦労もしてたらしいけど、それでも自立する道をお袋は選んでた。そしてその苦労を親父には一言も愚痴らなかった。
 お袋が死んで跡を姉が継いで、親父も自分の店をたたんで姉の店を手伝うようになったんだけど、そのときになって初めて親父のやつ、過去の家計簿見て「あれはこんなに苦労してたのか」って気付きやがった。

 そうだよ。覚悟もなしに結婚も離婚も出来るわきゃないのだ。
 男も女も「愛情」なんかで結婚が続くと思ってるようなガキな発想はいい加減捨ててもらわなきゃ後の世代が苦労する。
 ある意味、岡田さんが21世紀の今になってもまだこんなことを言わねばならないくらい、戦後60年近く、世の大半の男女は自分のアタマでものを考えることを放棄してきたと言えるのだ。

 でもここまで言いきっちゃうと、例えばしげなんかは物足りなさそうに「でも『愛情』がオマケについてきたほうがいいじゃん」なんて言い出すのだ。
 そりゃ、オマケについてくるのが金のエンゼルならいいけどね、銀のエンゼルどころか、「毒入り、食べたら死ぬで」ってやつばっかりだったら誰も買わんでしょう。
 あのね、結婚と愛情は別とか、岡田さんは優しい言い方してるけどね。結婚に愛情は「毒」なの。
 愛情以上の「意志」と「覚悟」と、それに「運」がいるのよ。

 しげはね、私が浮気一つしない亭主なもんだから気がついてないんだけどさ、世の中のたいていの男は自分に言い寄ってくる女が五人いれば五人とも付き合いたくなるものなのよ。これだけでも「愛情」が「毒」だってこと、解るじゃないの。私を除けば身近にいくらでも例はいるでしょ。
 だからたいていの女は男の浮気グセに悩まされることになるよねえ。特殊でもなんでもない。しげは多分「じゃあ最初っからそんな男と結婚しなきゃいいじゃん」と思うかもしれないけれど、そんな男しか世の中にいなけりゃ、どうしたって不幸になるのが女の「運」ってことにもなるのよ。

 要するに男も女も馬鹿だから不幸になるの。

 『フロン』のサブタイトルは「結婚生活・19の絶対法則」となっているけど、これはもちろん、岡田さんお得意のハッタリ。表記通りに鵜呑みにしちゃあいけない。今まで述べてた通り、岡田さんが提示した「夫のリストラ」ってのはこれを読む馬鹿女の頭脳レベルに合わせた「救い」のサンプルにすぎないのであって、結局どんな家庭を作るかってことについてはこの本の100ページに「じゃあ自分はどうしようと考えて見ることが必要」とちゃんと書いてる。

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06月23日(土)
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