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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ギャグマンガの地平に/『相原コージのなにがオモロイの?』ほか
そうすると、女房、外に出たはいいが、買い物をするでもなくほか弁を買ってくる。しかもさっき「しつこいのはいらない」と言ったばかりなのにキムチ丼なんかを買って来やがる。
あるものは食わねばならぬので食ったが、どうしてこうカンの外れたことばかりしてくれるかな、女房は。
風呂にも入らず10時に寝て起きたら、午前2時。ああ、4時間しか眠れないって、どういうわけだ。確実に体のリズムが狂ってきてるんだなあ。
マンガ『相原コージのなにがオモロイの?』読む。
相原コージという人、決して頭のいい人ではない。マンガ家にも天才型と努力型がいるとすれば、明らかに相原さんは「努力型」なので、言っちゃなんだが、その「努力」の過程が見える分、ギャグマンガ家としては弱いのである。
相原マンガを毛嫌いする人は多いが(ウチの女房もそうだ)、その批判のし方はたいていが「絵が汚い」「アイデアが陳腐」「説教臭い」というものである。
特にその「説教臭い」ところが反発を食らってるのだろうと思う。何しろ大上段に「ギャグマンガとはなにか?」と問い掛けてくるものだから、「えらそうにすんじゃねえ」と言いたくなる気持ちが読者の側に起こることも確かに当たり前ではあるのだ。
相原さんもそのあたりの読者の批判を常々肌身に感じていたのだろう、今回はそれを逆手にとって、客イジリならぬ客イジラセ、というとんでもない手段に出た。
インターネットに自分のマンガを載せ、読者の批判を仰いでギャグマンガを改訂していく。その過程そのものを発表していくという、言わば「メタマンガ」を目指したのだ。……『朝のガスパール』とか『笑い宇宙の旅芸人』のパクリとか言うなよ、小説とマンガとでは手法は似てても完成作はおのずと違うものになってるものだ。
匿名性の高いネットにおいては、批判を越えて、罵詈雑言が相原さんを襲うことは予測していたはずだ。相原さんは、その予測に従って、あえて「切れて」いく(予測してたからと言って、冷静でいちゃマンガにならんものな)。
でもそういった「メタマンガ」の試み自体が「陳腐なアイデア」とする読者もいて、「やっぱり相原コージはつまんない」と断じてしまったりするのだ。女房などは多分それで相原コージが嫌いなのである。
でもねえ。私はそれほど相原さんを嫌いになれないのよ。
なんたって自分のマンガを「つまんない」と貶した高千穂遙の本を、本屋に行って全部、後ろむきに入れ直したという人だ。バカな子ほどかわいいというが、「努力の過程が見える」というのも、それはそれで楽しめるでないの。
実は日本では、ギャグマンガは未だに差別されているのだ。はっきり言って相原さんがここまで罵倒されているのは、相原さん個人だけでなく、ギャグマンガが、ひいては全てのマンガ家自体が低く見られていることの表れにほかならない。
確かに相原さんのマンガはつまらないが、相原さん個人を罵倒するようなやつにマンガを愛する資格はない。日本が未だ読者の知的レベルにおいてマンガ後進国であることを証明した点で、本書は今世紀初の傑作マンガとなったと言えるのである。
マンガ、椎名高志『MISTER ジパング』4巻。
表紙は濃姫だけど、あまり出て来ない。信長の父、信秀の死と、その後の織田一族内の新たな権力闘争、平手政秀の死が今巻のメイン。……男のドラマだなあ。でも、椎名さんに求められてるものはそれと違うものだろうから、『GS美神』以来のファンは戸惑ってるかもしれないけど。
私はベタなギャグが減った分、以前よりずいぶん読みやすくなってるんだが。作家はやはり以前と同工異曲のものは書きたがらぬものだから、この変化もあたたかく見守っていけばいいと思うんだがなあ。
マンガ、高橋留美子『うる星やつら・所持品検査だ!』。
声優の日高のり子さんのインタビューで、京田尚子さん(『犬夜叉』の楓役だな)のエピソードが面白い。
お年を召した方であるから、『犬夜叉』の情念の世界を捉えるにしても、実にリアルな具体例を挙げられているそうなのである。
「昔の話でね、お妾さんと本妻が仲良くしてるんだけど、夜になると髪の毛同士が絡み合って戦ってたってね」
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04月24日(火)
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