ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491769hit]

■デイ・アフター/『漫画 巷説百物語』(京極夏彦・森野達弥)ほか
 『犬夜叉』映画化決定の情報に驚く。『うる星』『らんま』と映画になっているわけだから不思議ではないのかもしれないが、そのスケールと映画化ペースは確実に落ちてきている。それなのに併映なしの単独公開とはなんと思いきったことを。どうせインサイドストーリーにしかならないと判っていても、見に行っちゃうんだろうなあ。
 『キューティハニー』3DCG化なんてニュースはどうでもいいとして(^o^)、問題は次の『ゴジラ』である。
 ああ、やるんじゃないか、やめてほしいなあと、思っていたネタ、やっぱり金子のアホンダラはやりやがったぞ。
 キングギドラはやっぱりヤマタノオロチになるのである。
 いや、やってもいい。やってもいいが、ちゃんと特撮で見せてくれるのだろうな。『日本誕生』や『ヤマトタケル』のようなフザけた操演や『ヘラクレス』の“コピー”ヒドラの悪夢が……(T_T)。
 更にモスラは鵺に、バラゴンは狛犬になったそうである。これでは玄武(ガメラ)と朱雀(ギャオス)の焼きなおしではないか。
 ……キングシーサーが復活しなかっただけマシかもしれないが、この伝で行くなら、バランは野衾になり、ラドンは烏天狗になり、ヘドラは土転びになったと言っても成り立ってしまうぞ。キングコングは孫悟空に、メガロはカブトムシに、メカゴジラはアイボになったのか(だんだん常軌を逸してきた)。
 『千と千尋の神隠し』、この間予告編を見て、題名の意味がやっとわかったのだが、宮崎駿が作ろうとしているのは、極めて古典的なファンタジーである。即ち、ルイス・キャロルの『アリス』シリーズ、C.S.ルイスの『ナルニア国物語』を嚆矢とする、「異世界の扉を開いたもの」が、再び現実を獲得するまでの物語。幽閉と脱出のキーワードが、主人公の少女自身の「名前」であるところなど、まるで『陰陽師』だが、東洋と西洋の融合的ファンタジーを作ろうとしているのかもしれない。……これで底の浅い説教さえしなけりゃ宮崎さんもいい人なんだがなあ。
 宮崎さん推奨の『江戸東京たてもの園』というのが武蔵小金井にあるそうだ。上京したついでにちょっと行ってみたい気もするが、さて、女房はつきあってくれるだろうか。『千と千尋の神隠し』展も日本橋の高島屋で開かれるそうだが、見るべきものがあるだろうか。

 京極夏彦原作・森野達弥漫画、『漫画 巷説百物語』読む。
 WOWOWでシリーズ映像化されていた『京極夏彦 怪』の原作の漫画版だが、さて、一読三嘆とはこのことか。
 一頁、二頁とめくるたび、比喩ではなく背筋に戦慄が走った。
 水木しげるの再来、というより水木しげる本人が描いたとしか思えない妖怪画の世界がそこに展開していたからである。
 もともと森野達弥は水木氏のアシスタントであった。どこかで名前を聞いたことがあるなあ、と思っていたのだが、80年代、三度目の『鬼太郎』がアニメ化された時、『コミックボンボン』に連載されていた『最新版ゲゲゲの鬼太郎』、あれを描いて中に『地獄童子』という新キャラを登場させていたのが森野氏であった。……ちょっと待てよ、森野氏は1963年生まれだ。ということは、あの漫画描いてたころって……高校生?! 早熟も早熟、これはちょっとした天才ではないのか。
 水木氏は自分の絵にあまり拘らない人で、下手をすると鬼太郎までアシスタントに描かせてしまうことがある。再開された少年マガジン版『鬼太郎』は、一時期ずっと、辰巳ヨシヒロが描いていた。辰巳氏には悪いが、その線に水木氏の味はまるでなく、ダサいとしか言いようがなかったのだが、連載後半、絵が急に、昔の流麗な線に戻ったのだ。
 ああ、水木さん、ちゃんと自分で描くようになったのだなあ、と思い込んでいたのだが、どうやら今にして思うと、あれも全部森野氏が描いていたのではなかったか。
 もともと、森野氏の絵柄はアニメチックで硬質な絵である。『ジャック・ガイスト』などのイラストを見れば判るが、絵的にはあらいずみるいやこしたてつひろなどのオタク系アニメ絵のほうに近い。当たり前の話だが、水木氏の絵を真似る、ということは「模写」なのである。

[5]続きを読む

04月08日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る