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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■なりたくて病気になってるわけじゃないやい/舞台『トランス'98』ほか
だからこそ、逆に医者に扮した時の三者の演技は細心の注意を払って医者になりきらなければ説得力がない。内野聖陽、奥山佳恵、三宅弘城の三人は誰一人として医者に見えない。特に初めのうちは奥山佳恵こそが本物の医者、と客に思わせねばならないのに、全く医者に見えないのは致命的である。新作にともさかりえが起用されたのはもしかしたら精神科医の香山リカに顔立ちが似てたからかな、とふと思ったりもした(^o^)。実際、ともさかが医者らしく見えたのにはビックリしたものである。
何がよくないと言って、叫んでばかりいるのがダメなのである。みなさんが患者なら「それはお前の妄想だ!」と叫ぶ医者の言うことが聞けるだろうか?
もちろん三人は実は医者でもなんでもないから叫んでもいい、と解釈することも可能だが、もしそうなら彼らに救いの道はない。彼らの狂気はいずれ破綻する。「狂ってたっていいじゃないか」という「狂人のユートピア」(『ドグラ・マグラ』だな)を描くのが脚本の基本にあるのは明らかだから、崩壊を予感させる演出を行うのは演出家や俳優には悪いが誤読に過ぎる。
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某氏より『夏の秘密』に関するメールが届く。
基本的に個人メールの中身についてこの日記にアップすることはしないでいるのだが、映画の話題についてのことだしプライバシーを暴露するものではないので書かせて頂こう。「日記にアップしますよ」なんて相手の許可取ったわけではないので、念のためお名前は書かずに置きますが(某事件からこっち、えらく神経質になってるなあ)。
前回、「北原佐和子主演」みたいなことを書いたが、厳密に言えば彼女も所属していたアイドルユニット三人組、「パンジー」主演で企画された1982年の映画である。残りの二人は真鍋ちえみと三井比佐子。もともとこの三人、それぞれソロのグラビアアイドルとして活躍していたのだが、イマイチぱっとしてなかった。いや、北原佐和子だけは絶大な人気を誇っていたのだが、歌を出した途端、人気が急降下した(^_^;)。
「歌の下手な歌手」というのは70年代アイドルの乱立以来、ごく当たり前のことになってしまったが、これは実に群を抜いていた。個人的には、能勢慶子・安田成美と合わせて音痴アイドル三人娘と呼んでやりたいくらいである。この三人に比べりゃ、今時のアイドルは華原朋美もモーニング娘。も、天才的にうまい。当時カラオケが普及してて点数表示機能があったなら、自分の持ち歌ですら5点とか8点しか出せねえんじゃなかろうかというほどのヒドさだったのだ。
覚えてる人いるかな? 北原佐和子の『マイ・ボーイフレンド』。もともと声域が広くないのに甲高い声で「まい、まい、まい、ぼ〜いふれ〜んど」と尻上がりに音を上げさせられて声が届かず上ずってた、あの聞くに堪えない珍曲であります。あの曲出した途端、各週刊誌のグラビアから水を引くように北原佐和子の記事が消えていったのを昨日のように覚えていますよ(実はファンだったのか……?)。
多分、本人も歌手になる気はなかったのではないかと思う。自分の音痴も熟知していたのではないか。テレビに出た時の彼女はグラビアと違って、まるで自信なさそうで暗かった。暗いアイドルが受けていたのは藤圭子までである(^o^)。
「パンジー」の結成は起死回生の意味合いが強い。明るいアイドル路線が無理なら、謎めいた美少女路線で行こう、とプロダクションが考えたかどうかは知らんが、原作執筆を依頼したのが『皇帝のいない八月』の小林久三(どっしぇー!)。更に脚本が『わんぱく王子の大蛇退治』の池田一朗(と言うか、作家の隆慶一郎ね)。こんな陰陰滅滅コンビで何が出来るかというと、横溝張りの因縁話だったりする。学園内で起こる連続殺人、失踪した美少女転校生、東京オリンピックの年に起こった過去の犯罪にまつわる秘密……。完全に方向性間違えたな(^_^;)。
もちろん映画は大コケ。だいたいユニット組んでいながら、所属プロダクションがそれぞれ違うために主題歌を真鍋ちえみのソロでしか出せなかったのだ。戦略を初めから勘違いしていたとしか言い様がない。
以来、この三人娘の名はほぼ完全に芸能界から消えた。
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02月16日(金)
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