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G*R
by K・カヲル
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■『女性死神協会 会議中02番外編(前半)』
「ありがとうございます!」
万感の思いで大前田は頭を下げた。そしてすぐに踵を返し、私用の伝令機で実家に繋ぐ。
「……おう、俺だ。料理長を出せ。いいから!急いでんだよ……おう、久しぶりだな。頼みがある」
大前田はゆっくりと告げた。
「見目がよく、努力と執念を感じ取れて、味の良い……俺が作れそうなチョコレートケーキの作り方を教えてくれ。二番隊の存続がかかってるんだ」
数刻後、大前田は途方に暮れていた。
大前田家お抱え料理長に全ての材料を持ってこさせた後、彼に作り方を一通り説明してもらったのは砕蜂も同じはずだった。なのに、何故。大前田は目の前の二つの物体を見比べる。二人とも同じものを作ったはずだというのに、きれいな直方体をし、表面は艶やかに光るチョコレートをまとった大前田作のケーキ・オペラの横には、奇妙に歪んだ形状の砕蜂作のケーキ・オペラ?が威風堂々とあった。表面は砂漠のように乾き、色もどこか黒ずんでいるように見える。側面は地震でも起きたあとの地層かというような歪みを晒し、ところどころに何故か穴があった。
「うむ。貴様の方が見目がよいな」
頷きながらさらりと言う砕蜂に大前田はツッコミたいのをぐっと抑える。
「貴様の作成したものの方が説得力がある。すまぬが、もらっても構わぬか」
「そりゃ、もちろん」
「すまぬな。礼を言う」
砕蜂は満足げにかすかな笑みを浮かべた。大前田は己の職務を全うしたことを感じ、同じく満足げに笑う。隊員も隊舎も無事だった。後は残りの仕事を片づければ始業までに数時間は眠れるだろう。大前田がそう考えたとき、砕蜂が口を開いた。
「貴様には私の作ったものをやろう」
大前田の思考が止まった。目の前では砕蜂が珍しく笑みを浮かべたままで大前田を見ている。
「今夜の働きに報いたい。貴様がいなかったらこの任務は果たせなかっただろう。さあ、遠慮なく受け取れ」
おいおいそれは今ここで食えということかそういうことかそういうことなんだなこのやろう。
そう口にすることは出来ず、大前田はただ背中に冷や汗が流れるのを感じた。
(そのころの八番隊給湯室)
「……これが最後のチョコレートね」
袋を覗き込み、七緒は溜息混じりに呟いた。彼女の背後にはかつてはチョコレートであった残骸が多数転がっている。
「どうしてかしら。どうしてうまくいかないのかしら。説明書の通りにしているのに」
最後の材料を机に広げ、七緒は説明書を握りつぶさんばかりに手に取った。これが最後のチャンスだ。七緒は自分を奮い立たせる。今年こそ、自力で作ってみせる。
続き→
はい、仕事の後に隊の給湯室で菓子作りはいかがなものかと思わなくもないのですが、まあいいかと流してくだされば幸いです。えーと、一応、時間の流れに沿うようにして書いています。七緒さんが頑張っていますね。私も小学生の頃、友人が作るというので一緒にチョコを作った経験がございます。ええ、失敗しましたけどね。
こちらの三カ所での光景はまあ、ほのぼのを目指して書いています。大前田が可哀相なことになっていますが、まあ二番隊では日常茶飯事なので構わないと思います。
02月19日(火)
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