ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■中詞5題
 ギンは乱菊に嘘をついたことはない。もし、つくことがあるとしたら、それは自分の存在をかけて真剣につくだろうとギンは思う。
「乱菊」
 振り返ると、後ろを歩いていた乱菊が慌てて呻き声をあげた。頬がふくらんでいて、腕の中の果物が一つ減っている。
「……食べたやろ」
「う、ううんっ。ううん」
 ギンの問いに乱菊は懸命に首を横に振っているが、口の中にまだ果物が残っているのか、何も言えないでいる。
「ええんよ。嘘つかんでも。食べたんやろ」
 柔らかに微笑んでギンが覗き込むと、乱菊はうかがうような眼をして、小さく頷いた。
 にやりとギンが笑う。
「乱菊、あの繕い物やってぇな」
「んっ、うう……っ、ええっ。あんたの番じゃないっ」
 ようやく飲み込んで乱菊が声を上げた。
「でもボクつまみ食いなんてしぃひんもん」
「う」
「やってぇな?」
 しぶしぶ乱菊が頷く。ギンはその表情を眺めてじんわりと笑った。これくらい可愛らしい嘘ですら、その嘘が引き金となって何かが起きてしまうことを恐れてギンは乱菊につけない。でもそれでいいとギンは思う。嘘をつくことが下手な自分はその方がいいとギンは思っている。





ようやく終了です。あとがきは後に。

02月09日(土)
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