ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■17 生け贄
「せやけど、人殺した後ってな、えらい臭うんよ。血や臓物とかでなあ。洗っても洗っても、消えへんのや。体の奥から立ち上ってきて、嫌んなる」
吉良は目の前の上司を見た。柔らかい表情で飄々と笑うこの男は、その笑みで全てを隠し、その感情は決して覚らせてはくれない。今も凄惨な話をしているように思えるのにその笑みは柔らかかった。
「市丸隊長は、その」
「殺しとるよ。死神になってからは虚相手ばかりで人殺しとらんけど、昔はなあ」
外はもう夕暮れで、茜色の光が執務室を染め上げていた。その色は血の赤には程遠く暖かく、市丸を吉良を照らす。
「そやさかい、任務の後くらいは花飾っとるんやろ。花の香りで、お茶の香りで血の臭いを消すためになあ。あの副隊長さんが人殺してはるとは思わんけど、まあ気ぃまわせる人なんやろ。そういや、前の隊長さんときも、よう働いてはったしな」
吉良は大前田のやりとりを思い出した。
砕蜂が出ていった後、「いつもこうなんですか」と吉良が尋ねると、大前田は顔を顰めて、
「こういうときだけだ。面倒くせえ」
と億劫そうに言った。そして丁寧な手つきで隊長羽織を畳んでいた。
何も訊かず、余計なことは話さず、けれど淡々と必要なことだけを話す二人。無駄はなく馴れ合いもなく、ただ相手に任せて任された、信頼。
羨ましい。
強烈に吉良は感じた。羨ましい。なんて羨ましいのだろう。吉良は自分を振り返り、そして決意を新たにする。
「市丸隊長」
「何やろ」
「僕も、僕も頑張ります! 本当に頑張りますので、よろしくお願いします!」
「ありがとさん、イヅル」
市丸はわずかに俯いて、笑った。
「ボクは本当にイヅルに助けられとるよ」
その笑みが、赤く赤く照らされた。
大前田さんの喋り方がまだ微妙に掴めておりませんですよ。
さてさて、二番隊祭になった一環で書いてみました。メインは吉良のはずなのに殆ど二番隊です。ええと、管理人は二番隊ツートップをコンビとして捉えておりますが、多分、一般的に想像するような仲良しではないけれど、互いに伝わっているものがあるように思うのですよ。だって、兼任していて忙しいに決まっている隊長の下で副隊長を続けていて、かつクビになっていないんですから。
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11月17日(土)
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