ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■『女性死神協会 会議中02番外編2(前半)』
「二人きりでないと効果がありませんよ? あの夜でご理解頂けたかと思ってましたが」
 勇音が赤い顔のまま、机にすがるようにしてへなへなと床に崩れ落ちた。七緒は全く言葉を挟むことが出来ず、崩れ落ちた勇音の頭頂部を眺める。荻堂もまた、勇音を見下ろして、一言、
「……と、まあ、冗談ですが」
と淡々と言った。続けて、
「お作りになったお菓子、楽しみにしています」
とほんのわずか、口の端を持ち上げた。そして七緒に向き直り、
「ご歓談中に失礼しました。後でお茶をお持ちしますので、ごゆるりと。伊勢副隊長」
と一礼する。七緒は小さく、はあ、としか答えられない。荻堂はまだ机の脚にすがって座り込んでいる勇音を気にすることなく、もう一度、礼をして部屋を出ていった。
 扉の閉まる音を合図にして二人が同時に溜息をつく。七緒は、勇音を見た。勇音はまだ仄かに赤い顔をして七緒を見上げている。
「……あの夜って?」
「なっ……何にもありませんっ!」
 勇音は千切れんばかりに首を振る。七緒は勇音を覗き込むように膝を抱えて座りこんだ。
「……愛されているというより、からかわれてるようにしか見えないんですよねえ。この場合」
 七緒がしみじみと呟くと、勇音はがっくりと項垂れた。



(二月十三日 二番隊執務室)
 書類を抱えた七緒が二番隊執務室に足を踏み入れると、そこでは書類が宙を舞う中で戦う砕蜂と大前田の姿があった。
「貴様っ、上司を信用できんのかっ」
 砕蜂が高く跳躍し、大前田の顔めがけて蹴りを繰り出す。大前田は瞬時に屈み込みそれを避けると、その屈めた脚のばねで後ずさった。
「信用とか尊敬とかの問題じゃねぇっすよっ! 現実問題なんすよっ」
 追うようにして距離を詰められ、繰り出される砕蜂の拳を器用に避けながら大前田が叫ぶように訴える。
「失敬なっ!」
「現実を見て下せぇっつうの!」
 砕蜂と大前田の動きによる風圧で沢山の書類がくるくると待っている。七緒はすうと息を吸い込み、
「お取り込み中に申し訳ありませんがっ、よろしいでしょうかっ」
と大声を出した。申し合わせたように二人の動きが止まる。砕蜂が七緒の方を振り返った。大前田が肩で大きく息をつく。
「どうした、伊勢か」
「おう、伊勢。いいところに来たな」
 書類の吹雪の向こう側の二人に七緒は大きく溜息をついてみせた。
「……幾つか、確認して頂きたいことがございまして。よろしいですか?」
 砕蜂は頷いてソファに座る。大前田は首を鳴らすと、床に散らばる紙を集め始めた。七緒は気にせずに砕蜂の傍らに立ち、数枚の書類を手渡す。砕蜂はそれにざっと目を通し、
「大丈夫だ、問題ない。大前田、これに判を押して次に回しておけ」
と大前田の方に振り向くことなくそれらを放り投げる。空中を滑るように飛ぶ書類を見誤ることなく全て受け取り、大前田もまたそれに目を通した。
「へいへい。伊勢、わざわざ悪かったな」
「いえ、訂正がなくて良かったです」
 七緒が軽く礼をする。
 そこへ砕蜂が立ち上がり、七緒を鋭く見上げた。
「伊勢、時間があったら茶でも飲んでいけ。私はこれからあちらの任務があるが、まあ大前田でも茶の相手くらいにはなるだろう」
「茶をいれるのも菓子を準備するのも全て俺なんすけどね、隊長」
 大前田が投げやりに言うが、砕蜂は気にもとめずに扉へ向かう。
「当たり前だ。貴様、私にやらせる気か」
「させるわけねえでしょう。飲めるもんも飲めなくなるっすよ」
「貴様、相変わらず口の減らない……夕刻までは戻らぬ。それまでしっかりやっておけ」
「へいへいへい。あちらの件は俺がやりますからね。どう考えても俺じゃないと時間的に無理っすよ」
 大前田が念を押すように言う。砕蜂は閉じかけた扉から視線だけを向け、
「……好きにしろ」
と呟くように言った。そして音もなく扉を閉める。
 口を挟む間もなく七緒は砕蜂を見送り、大前田に促されてソファに腰掛けた。大前田は給湯室にくるりと体を向ける。七緒は慌てて、
「あ、あの、大前田さん」
と声を掛けた。大前田が振り向く。
「どうした? 紅茶の方がいいか?」

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02月21日(木)
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