ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■『女性死神協会 会議中06』
 七緒が緩む口元と悩める眉間という難しい顔をして食べているのを眺め、乱菊は勇音をちらりと見た。
「勇音。色々言っていたけど、単に美味しいものをみんなで食べたいだけでしょ」
「……だって、旅は道連れじゃないですか。こんなに美味しいのに」


「……では、次の方」
「うむ、私だな」
 七緒の声に砕蜂が頷く。そして紙袋から適当な大きさに切った餅と、どう入れていたのか巨大なボウルを取り出した。つんした香りが漂う。すかさずネムが七輪を取り出し、餅を焼いていく。
「最近はこれを食う者も減ったと聞いたので大前田に準備させた。からみ餅だ。さっぱり美味しく餅を食せるのはこれだと思うぞ……まあ、私はきなこでもあんこでも磯辺焼きでもお汁粉でも雑煮でも鍋に入れても何でも飽きないのだが。というか餅が余るというのが理解できん」
 砕蜂は腕を組み、鷹揚に首を横に振る。その横でネムが手際よく焼き上がりふくれた餅に大根おろしをからめていく。それを皿にのせていくと、全員に配った。全員が口に運び、驚いた顔をする。
「おいしーい!」
「これはさっぱりと頂けますね。何個でも食べてしまいそうです!」
 驚きと喜びの声に砕蜂はわずかに口元を綻ばせた。
「うむ。つきたてならば格段に美味いのだが、まあ仕方なかろう。好みはわかれるだろうが、私はつきたてではなくとも美味いと思っている」
「はい、本当に美味しいです」
 笑顔でそう言う七緒に、砕蜂は真顔で言った。
「京楽はこういうのは好きだろう。食わせてやれば喜ぶぞ」
「……! ……っ……っ」
 勢いよく咳き込む七緒に勇音とネムが駆け寄って、背中をさすり出した。


「ででででは、次の方」
「はい」
 七緒の声にネムが静かに手を挙げる。そして紙袋から焦げ茶に輝く四角い菓子を取り出した。
「凍餅です。しみもち、すんもち、とも呼ばれます。お餅そのものも保存のきく食物ではありますが、その保存性を更に高めた、昔ながらの保存食です。寒冷地で作られるこちらは、地域によりますが基本的には餅を凍らせて乾燥させています。お菓子のように食べることも多いようなので、今回はそちらをご用意しました。揚げた後に砂糖醤油をからめてあります」
 皿に盛られた凍餅に全員が手を伸ばした。それを囓るさくさくという音がする。
「あ、なにこれ、すっごく美味しいんだけど!」
「なんかサクサクしてるのに、もちもちした餅の食感もある感じがします」
 皿の凍餅は瞬く間になくなってしまう。やちるが残念そうに最後の餅を飲み込んだ。
「のし餅を作られた時点で、作りすぎたと思われたら十二番隊にお持ち頂ければ作成致します。余分をどうするかという問題への提案ではありませんが、余分を作らないことになりますので、結果的にはよろしいかと思います」
「え、でもどうやって作ったの? 寒冷地まで持っていったの?」
 七緒が首を傾げると、ネムは無表情のまま、
「いえ、巨大冷凍庫を利用しました」
と言った。全員が微妙な顔になる。それに気付いたのか、ネムは全員を見渡すと、わずかに首を傾げた。
「通常、何に利用している冷凍庫かはお尋ねにならない方がよろしいかと思います」
「それを言うからだめなんでしょうが! それを言うから!」


「か、会長のご提案は」
 七緒がうんざりとした顔でやちるを見ると、やちるは困ったように笑う。
「あのね、あたし、きなことあんことお汁粉で飽きたことがないから、よくわかんなかった。ごめんね」
「そうですよね。私もそう飽きはしないんですけど、ねえ」
 つられたように七緒も困った顔をする。それを見ていた乱菊がきょとんとした。
「え、でも京楽隊長ったら、作りすぎたからって餅を配りに来たわよ。さっき」
「えええっ、本当ですかっ」
 慌てる七緒に、乱菊は頷く。
「うん。だから八番隊も少しは楽になるんじゃないの?」
「あ、そうですよ。四番隊にもいらっしゃいました。卯ノ花隊長が喜ばれて、揚げ餅を作ろうとされていました」
 勇音が嬉しそうに笑うと、隣で砕蜂が首を縦に振る。
「二番隊にも来たぞ。それゆえ夕食は雑煮と言ってあるが、餅ピザもいいかもしれぬ」

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02月28日(木)
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